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私も、女なんですけど

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「そっか……ごちそうさま」

「おい、俺より早く食うとかどうなの?ペース合わせろよ」

「だって喋ってばっかりで冷めちゃうじゃん。話もつまんないし」

「あぁ?」

 凄んだって無駄、口の端にバジルが付いてて迫力に欠ける。

 昔は素敵だったんだけどな、私も社会に出て広い世界を知ったから彼の幼稚さに気付いてしまった。

 それでも情が残っていたから交際を続けていたけど、もう付き合い切れない。


「話がつまんないって言ってるの。女が悪いって話ばっかり。私もその女なんですけど」

「はぁ⁉︎お前も枕してんのかよ」

「事務職でどうやって枕すんの…世の中の大半の女性に失礼だからそういう考えをひけらかさないで」

「ハイハイって聞いてりゃ良いだろ、頭悪いな!」

 自分で言っていて辻褄が合わないことに気付かないのだろうか。

 先ほどは「するな」と主張したのに今度は「していろ」とな。

「ハイハイって相槌打ってりゃ良いと思ってる女は駄目なんじゃなかったっけ?支離滅裂だよ」

「……お前、俺に反抗するとか良い度胸してんな」

「あら、ありがとー」

「面倒くせぇな…女は大人しくしてりゃ良いんだよ、バーカ!」

「感情的だね、論理的に話せないの?」

 空中待機していたブーメランがひゅんひゅんと返って来て彼に刺さる。

 稚拙な主張はもう何度も聞いて飽きていたから、やっと反論できてスッキリした。


「…なんでそんな反抗的なんだよ。ケンカ売ってんのか」

「ううん?別に…そっちも、無理に女と一緒に居なくても良いんじゃないかなって思ってて。つまりは別れたいなって」

「えっ」

「オンナがオンナがって、悪口ばっかり聞かされて。私も女だしさ、いよいよダルいっていうか。気分悪いの、女叩きも的外れだし辞めた方が良いよ」

「なん、なん…」

彼はフォークをテーブルに落として、ぷるぷる震え出す。

 でもその動きもパフォーマンスに見えて、寒々しくて冷めた目で眺めるしかない。
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