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しおりを挟む俺たちには結婚みたいな確約されたゴールが無くて、そしてそれを強く求めている訳でもない。
でもこんなに愛し合って必要とし合ってるカップルがここに居るんだぜ、ってことは何かの形で示したい。
誰にって、分からないけど。
最中にそんなことを考えたと言えば、賢者タイムの真秋は
「男女でも、離婚する人はザラにいるじゃん?永遠に添い遂げる確約ではないよ」
と鼻で笑った。
「確かにな」
「何かね、証明はしたいよね、常々考えてはいるんだけど」
「そっか」
「…指輪、着けてみる?」
真秋の自信なさげな声に、ハッと顔を上げる。
「…そういう…のも、ありか」
「僕は自営業だから自由だけど、ナツの会社はどう?指輪してたら突っ込んで聞かれる?」
「うちは…アクセサリーは結婚指輪のみOKなんだけど…ファッションリングしてる人もいるな」
「営業は手元も見られるでしょ、チャラついてるって不利益になるんなら止めといた方が良い」
「…ペンダントにして、首から掛けとくでも良い、欲しい、買お、アキ!」
何だかぱあっと、世界が開けた気がした。
未来に続く光が見えたような、先細りする道を囲んでいた塀が壊れたような…明るい気持ちになった。
腕の中で急にはしゃぎ出した俺を、真秋は一瞬驚いた顔で見つめていた。
でもすぐに目尻を下げて、
「じゃあ、次の休みに買いに行こう」
と口付けてくれた。
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