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7…二人を繋ぎ止めるもの
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しおりを挟む翌日。
私はスマートフォンの生理予測アプリのモードを『妊娠を望む』に切り替えた。
ああすれば良いこれを食べれば良いと様々なアドバイスが目に入るがとりあえずはタイミング法だろう。
排卵日の目安の日にちにピンクの印が点る。
時期も気にしないし会社の福利厚生は充実している。
里帰り出産はしないつもりだからこの地域での福祉サービスなどは最大限に利用していくつもりだ。
「勇太、来週の金曜くらいから…いいかな」
「ん?なに?」
夫は朝食の野菜たっぷりサンドイッチを頬張り、間抜けな顔で聞き返す。
「だからあの…昨日の夜話したこと、」
「なん……あぁ、なんやったっけ」
「……」
「千里ちゃん、なに、教えて」
口の端に付いたマヨネーズをいやらしく舐めて、勇太はニタニタと笑い頬杖をついてこちらを窺ってきた。
別にここで機嫌を損ねたっていいのよ。
そうは思うが二人の関係改善の糸口なのだからお流れになってはもったいない…
「あの……こ、こづ、く、り…あの…」
と口に出せば顔の表面温度が上がって目がじんじんする。
「なに、聞こえへん」
「っ…いじわる、自分がシたいって言ったのに!」
「なんやったっけぇ、ん?」
「ムカつく…こ、作り、するんでしょ…」
「子作りエッチな、うん」
勇太はサンドイッチを食べきってそう言うと、手に付いたパンのかけらを皿へ落としコーヒーカップに行くと思いきや私の握り拳を包み込んだ。
「……」
「来週の金曜な、うん……楽しみや…優しくするから」
「う、ん、」
あぁまるで初めての時のように胸が高鳴ってしまう。
時間薬とはこういうことなのだろうか。
このまま意識せずに完全にあの事を記憶の彼方へ追いやれば…幸せなセックスができるのだろうか。
「行ってきます」
「行ってらっしゃーい」
作業着で出かけて行く勇太を見送って、私も仕事へと出発した。
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