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9…間抜けな結末
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しおりを挟むそれからというもの、勇太はタガが外れたように毎夜私を求めるようになり、さすがにこちらの方が疲れて相手を渋ると「ほな動画撮らせて」とセックスをビデオカメラで撮影するようになった。
そして後日隣に私を置いて
「下手なAVよりよっぽど抜けるやん」
とオナニーしつつ鑑賞するのだ。
このところ夫の変態具合に拍車が掛かって止まらない。
「…もうちょっとダイエットしようかな」
客観的に見る自分の裸体は自分が思っていたほど綺麗ではなくて、20代前半の頃には付いてなかった脂肪だったり贅肉だったりがぷよぷよ揺れているのが非常に見苦しかった。
「適度やと思うけど?んッ♡」
「AV女優さんって、相当キレイなんだね」
「せやろね、整形とかしてるんとちゃう?どの角度から見てもキレイなように気ぃつけてんやろ」
「私、ブサイク」
「やめてぇ」と叫ぶ顔も声もプロには及ばない。
これで意識高いつもりだったのだから今になって冷や汗が出る。
「なんで、可愛いやん。飾ってへん声、自然な、ん、あー…千里、タマ触って、上がって来てるやろ、そろそろよ」
「うーん?」
「手、受け皿にして、」
「えー」
「ほな顔に掛ける、ん、」
立ち上がろうとする勇太に慄いてサッと両手を出せば、彼は膝立ちになり更にしこしこと自身を磨き…
「あー、出る、出る、千里♡♡♡あ、あー…見て、あ、ほら、あー♡」
と、白い白い温かい液体を私の手の平に射出した。
「……わぁ」
「引くなって…ごめん、ティッシュ、ティッシュ…」
「もう少ししたら…これ、私のナカに頂戴ね」
「なん…エロい誘い方するやんか」
「ふふっ…そう?」
「………生理終わったら、またサせてな」
勇太がそう言っておでこにキスをくれるので、
「スるんだよ、一緒に、二人でスるの」
と言い直して心拍数の上がった体を抱く。
「そうか」
「うん、勇太、晩ご飯は何がいい?」
「せやな…残りもんぶち込んでカレーとか」
「いいね、意識低いご飯」
「千里のメシは何でも美味いよ」
「ありがと♡」
済んでみれば他愛のない事だったな。
『新婚時代に風俗に行かれて病気まで貰ってきた』なんて誰にも言えないけれど吹っ切れれば最強のエピソードとなることだろう。
彼は私以外の女性でも興奮するし体を平気で触らせる。
生理的な反応はさておき今後の浮気に関しては彼を信じてみるしかない。
そもそも浮気でもなかったのかな、だって肉オナホでオナニーしてきただけだものね。
なんて低俗なことを考えれば私も勇太に毒されているのだと自己嫌悪に陥る。
ともかく夫の『愛』を貰えるのは私だけ、それが綺麗事だろうと宥めるための嘘だろうとどうだっていい。
何はともあれ再構築、セックスについて意見交換ができるようになった今ならちょっとやそっとのことでは私は傷つかない。
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