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しおりを挟む「へ、え、あ、書き、書きます、え、」
「あのー……魔法使いパロとか…もしもシリーズとか…」
「か、書いて…え、あ、」
もはや黒歴史の初期作品をバラされ発狂ものだが、それよりもそんな事を知っているというこの男性は…その正体は。
「あ、信じてもらえるかな…はじめまして……ルイス…です…」
「ひっ………うえぇッ⁉︎」
「トンボさん……やな、おうてる?」
「ヒィっ……」
初対面の相手に失礼な態度だろうが仕方ない。
現実世界とは違う人生を画面の中の「トンボ」は生きているのだ。
「ル、ルイスさん…だ、男性だったんですね…勝手に女性だとばかり…あ、」
「せやねん、そんな感じしててんな…いや、下ネタとかも話してて悪いなぁ思うてんけど、なかなか男やって言い出せんくてね…ごめんな、」
「いえ、あ、あの、呟きが無くなって…なにか失礼があったのかなって…連絡…取れなくて…あの…」
身振り手振りであたふたと、私は目の前のまさかのルイスさんへ連絡が取れなくなった訳を尋ねた。
「へ、あ、ごめん、店のアカウント作ろうと思うてメアド確認しとったら間違ってログアウトしてもうて。パスワードなんか覚えてへんからログインできひんようになってさぁ、俺…『ぴくさ』もSNSもパソコンからしてんねんけど、そのパソコンが壊れてもうてもうお手上げ状態よ」
「は…なんだ…え、スマホからは?」
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「えー……あ、そう…ですか…」
音信不通の理由は本当に単純で…自分が避けられていたわけではないと分かると、安堵でじんわりと目頭が熱くなる。
「パソコンはもう直ってんけど、店が…親父の店やねんけど改装したばっかで。忙しうてね…なかなか受け取りに行かれんかって…SNSなんかやる暇がなかってんなぁ…え、え、」
「わっ、わだしッ……待っでだのにッ…ルイスざんッ…」
「なんか」などと言わないで、私の生活はそこに支えられて全てが上手く回っていたのに。
自分を形作るパーツのひとつとなっている彼へ、私は涙で訴えた。
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