上 下
17 / 18
元気に、切り替えて、清算します!

16(最終話)

しおりを挟む

 日曜日に母に付き添われ無事退院し、月曜日は部長の言葉通り有り難くお休みさせて貰った。

 母が滞在中に作り置きをしておいてくれたので、それを大事に片付けながら火曜日に仕事へ復帰した。


「おはようございます」

「ん、おはよう。もう熱は良いの?」

「はい、おかげさまで…ありがとうございました」

 部長は「良かったね」と笑ってくれて、何だか周りも優しくて逆に申し訳ない。

 やっぱり心配をかけていたんだな、これから仕事で挽回せねば。


 彼氏の浮気が無ければ、こんな目に遭わなくて済んだのに。

 でも私が気付かなかったら騙されたまま結婚とかしてたかもしれない。

 ほぼ無料で引越し出来たし、一度生活をリセットしたのだと思えばそう悪くない。


 今回、ドライだと思っていた自分の弱いところも発見できた。

 案外デリケートで、溜め込んでしまう性格なのも分かった。

 平気なフリしても周りにはバレバレで、メンタルもフィジカルもそこまで丈夫じゃないことが分かった。

 同僚も上司も、気遣ってくれていることが分かった。


「(もっと、私も周りを見るようにしよう…あと、自分のことも)」

 この一連の騒動で、体重は5キロほど減っていた。

 毎日体重計には乗っていたのに、ホテル住まいと引っ越しのゴタゴタで習慣が途切れて気付かなかったのだ。

 投げやりに生きていた訳でもないのに、不要品と一緒に捨てたものもあったのだろう。


「おーい、ランチ行く?」

部長と、同僚たちが席を立ち私を見る。

 いつもはみんなバラバラなのに、これも私へのねぎらいなのかもしれない。

「…行きます、お腹空きました!」

 私はぐーぐー鳴るお腹を押さえ、勢い良く立ち上がるのだった。



おわり
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

わかりあえない、わかれたい・12

茜琉ぴーたん
恋愛
 好きあって付き合ったのに、縁あって巡り逢ったのに。  人格・趣味・思考…分かり合えないならサヨナラするしかない。  振ったり振られたり、恋人と別れて前に進む女性の話。  12・広い世界を知って、夢から覚めた女性の話。 (全13話) *シリーズ全編、独立した話です。

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

嬉野エリア長の調査報告書…娘と会社の治安は僕が守る。

茜琉ぴーたん
恋愛
 家電小売業最大手・ムラタの人事担当である嬉野直人に、ある日妻から「娘が悩んでいる」との情報が伝えられた。  家族の憂いを解消するため、父・嬉野は職権を利用しつつ真相へと近付いて行くのだった。 (全45話) *関西ムラタ勢のその後を浚う総集編的作品です。簡単な人物紹介は入れているので前作を読まずとも話は伝わるようにしております。 *挿絵は、原画をAI出力し編集したものです。キャラクターを想像しやすくするイメージカットという感じです。

婚約者

詩織
恋愛
婚約して1ヶ月、彼は行方不明になった。

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

どうして隣の家で僕の妻が喘いでいるんですか?

ヘロディア
恋愛
壁が薄いマンションに住んでいる主人公と妻。彼らは新婚で、ヤりたいこともできない状態にあった。 しかし、隣の家から喘ぎ声が聞こえてきて、自分たちが我慢せずともよいのではと思い始め、実行に移そうとする。 しかし、何故か隣の家からは妻の喘ぎ声が聞こえてきて…

処理中です...