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元気に、切り替えて、清算します!

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 翌朝、ボーッとした頭で起き上がりインターネットバンキングの入出金明細を確認した。

 通知通り、私が請求した額がそのまま、元彼の名前で振り込まれている。


「…おわり、終わったんだ、おわり…」

へなへなと力が抜けて、私は膝から床に崩れ落ちた。

 脚の痛みと衝撃に悶えて、視界は揺れて立てない。

「なんだ…?なに…?」

 アルコールは抜けているだろうに顔がぽっぽと熱くて体は怠くて、目の奥が重くカーペットに頬を付けて固まった。

 やだ、死んじゃう…そこで私の意識はプツンと途絶えた。



 次に目を覚ましたのは見覚えのない天井の下で、目玉を動かすと母親がうつらうつら船を漕いでいた。

「おかーさん?」

「…⁉︎あんた、大丈夫なの?ナースコールして、先生呼ばなきゃ!」

「はい?はい…」


 看護師さんを呼んだらお医者さんも来てくれて、脈を測ったり心音を聴いたりと周りがバタバタ動き出す。

 話を聞けば、心労で弱っているところに感染症を貰い、いわゆる夏風邪で高熱を出していたとのことだ。

 意識を失ってからそう時間は経っておらず、午前中に倒れて今はその夕方らしい。

 今夜は入院して明日には退院できるそうなので、とりあえずゆっくりさせてもらうことにした。

 母には礼を言って私の家に泊まってもらうことにして、一旦帰らせる。


「(疲れてたんだな…点滴たっぷり……あれ、誰が救急車呼んでくれたんだろ?お母さんが偶然来たのかな)」

 尋ねようと思ったがスマートフォンが手の届く範囲に見えず、熱もあるので諦める。
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