君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない!

茜琉ぴーたん

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おまけ・遠距離中の二人(88話)

落書き・4

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 心平は「まぁまぁ、ついでだし」と後ろを向かせて、白い尻肌にも『心平専用、関係者以外立ち入り禁止』と独特なワードを書き入れる。

「出来た」

「え、なんて書いたの?」

「後で鏡で見てみて」

「…『ケツま◯こ』とか書いてたら怒るよ?」

「そう言うと思って書いてないよ…よし、なんか興奮してきたから続けようかなッ」

「あッ」


 この夜の心平はいつになくノリノリで、前戯も無しに汗だくで燃えた。

 その汗とローションで落書きは事後にはほとんど読めなくなっており、その代わりシーツは酷く汚れていた。



「…後ろ、結局なんて書いてたの?」

狭い風呂でシャワーを浴びながら、悠里は尋ねる。

「…『心平専用、関係者以外立ち入り禁止』って」

「あは、なにそれ」

「ごめんね、いきなり挿れて…痛くなかった?」

「平気だよ、いきなりの日があっても良いじゃん…心平くんは関係者なんだから♡」

「ふふ」


 この頃の二人は、共に社会人になることや地元で暮らすことを念頭に置き、このアパートでの性生活の"終わり"を意識し始めていた。

 ここは誰にも邪魔されない、二人だけの世界、城、愛の巣。

 心平にとってここはオアシスであり、浮世を忘れられる楽園みたいなものだった。

 現実逃避、まるで時が止まった夢の中かのような世界。

 悠里は勤務地の近くでひとり暮らしをする予定ではあるが、それがどこになるかは分からない。

 一緒に暮らすにも親に挨拶せねばと思うし、なかなか気が重い。


「落ちた?」

「まだ、残ってるね」

 億劫な未来から逃れるための場所で、モラトリアムを惜しむように、今夜も二人は二人だけの世界で愛し合うのだった。



おわり
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