君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない!

茜琉ぴーたん

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「学校の友達に、言われたんだ…『悠里は自分の意見が必ず通ると思ってるよな』って。『その強気なところ、万人が好みではないと思うよ』って」

「随分と、柔らかい言い方をしてくれる友達だね」

「…大切にしようと思ってるよ…それで、同時に考えたんだ。僕を大事にしてくれる友達と、心平くんの違い。なんで心平くんが良いのかなって」

「…それが、さっきの答えかな?」

「うん。大切な人は沢山いても、心平くんは別格なんだ。これ以上の説明が出来ないよ…それはもう野暮ってもんだよ」

悠里は江戸っ子みたいな口ぶりで、チェアに踏ん反り返る。

 実際、カップルにインタビューしたって同じような答えが返って来るだろう。

 好きだから好き、それの何が悪いことがあろうか。

 恋愛経験が無い心平でも、なんとなくその理屈は理解できた。


「…なら、僕の嫌いなとこは?」

あるなら聞いてみたい、心平は少しかしこまって尋ねる。

 都合良く振り回すだけならそういう趣向の人を探せば良い。

 何も秀でたところの無い心平は、身分不相応にも悠里を試す。

 予測外の質問に悠里は「えっ」と固まって、難しい表情になった。

「…僕の、いや…」

 「僕の言うことを聞いてくれないところ」なんて言えば即刻お終いになることは分かっている。

 悠里は言葉を選び、推敲しながらノーミスゴールを狙う。

「し、芯を持ってるのか、簡単には流されないところ、とか」

「そうかな。僕は気弱だから悠里くんの言いなりになっちゃったよ」

「最初だけじゃん、えっと…その気弱なところ、危ないから直した方が良いと思う」

「気弱なの、好きなところって言ってなかった?」

「あう」


 何を言っても藪蛇になりそう、いつの間にか主導権を握られているのが悠里にとってはストレスだった。

 内心「心平くんのくせに」と憤るものの、ここまで強気に向き合ってくれたことが無いから嬉しくもある。

 少しだけ対等に戻った感じ、歳上らしい頼もしさに踊らされる自分も心地悪くない。

 そしてこのイチャイチャ未満の雑談が楽しい。

 一定の距離を保ちつつ踏み込んで来る感じ、ディープな内容をさらりと話すこなれ感も大人っぽくて良い。

 モヤモヤとニマニマのせめぎ合いに悠里はうつむいて、感情を悟られまいと内頬を噛んだ。
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