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しおりを挟む「その代わり、大学に合格したらすっぱり諦めるから。その頃には心平くんも4年生になって就活とかするでしょ?僕はここを離れてひとり暮らしでもして……だから、それまで一緒に過ごしたい。お願い、心平くん…いや、心平先生!」
「…それまでで良いの?」
「ほ、本当はそれ以降だって一緒に居たいよ!でも、心平くんはズルい僕とは付き合ってくれない。それ以前に、男と恋愛できないでしょ?だから、契約で、心平くんを縛りたいんだ。あわよくば、絆されてカップルになれたらって思ってるよ、でも多くは望まない…もう、エッチなことも仕掛けない。ここに来て、勉強を教えて、お話してくれるだけで良いんだ」
「期待させて、弄ぶようなこと」
「じゃあ倍額払うから‼︎」
悠里は柄にもなく、髪を振り乱して怒鳴り上げる。
あがる息で肩を上下させて、瞳はうるうると濡れていた。
「お、お金の問題じゃなくて」
「ならこれまでの僕とのこと、心平くんの親に話しちゃうから」
「ばっ…何言ってんの⁉︎そういうとこだよ!悠里くんはそういう卑怯なところが」
「卑怯で結構だよ‼︎なりふり構っていられるか!僕は金に物を言わせて脅迫してでも心平くんを囲いたいんだ!ガキだから良いだろ!」
子供は「囲う」なんて使わない、呆気に取られた心平はふと昔の情景を思い出す。
テレビゲームで負けてわんわん泣いたり、「僕が勝つまでやる!」と食い下がる幼い悠里の姿だ。
悟って物分かりの良さげなフリをしても、根っこの部分は変わっていない。
「(まぁ悠里くんも17歳の高校生だものな、人格形成だって途中か)」
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物心が付いて周囲を見るようになり、次第に気遣いを覚えて立ち回り方を学んだのだ。
自分が少々の損をしてもその場が穏便に進めば良いと考えるようにしてきた。
初めての大損は悠里からの性的トラップな訳だが、それも今となっては完全に損とも言えない。
心平の心根の優しさは持って生まれたものであり、喉元過ぎれば…を地で行くような愚かさももはや彼のアイデンティティなのである。
再びこうして密室で見える危うさは理解しながらも、悠里への信頼も捨て切ってはいない。
哀しいほどの性善説思想、もとい思考。
心平は「どうどう」とジェスチャーを繰り返し、ワガママな少年の息が落ち着くのを待った。
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