君は、裸の王子さま—イタズラ御曹司は気弱な幼馴染みが欲しくてたまらない！

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　一方、悠里は。

「やっちゃった、終わった」

頭を抱え、目をしょぼつかせながら部屋を徘徊する。

　どうして許してくれると決めてかかったのか、自身の甘さに落胆する。

　心平への敬意も足らず、好かれる自信に溢れていたのが恥ずかしい。

　距離の取り方を間違えた、ガキ臭さが露呈した。

　何もかも失って、涙がつつと頬を垂れる。


　夜、幸司こうじから「心平くん、忙しくなったから家庭教師の時間減らしたいってさ」と告げられ悠里は驚く。

　あんな喧嘩別れをしたのに、辞めずに続けてくれるとはどういうことか。

　聞けば、幸司も引き留める説得などはしていないそうだ。

「大学生の本業は勉強だからね、減らすのも仕方ないって了承したよ。月に１回くらいは来て、模擬試験とかしてみようかって話になったよ。だから次は来月でって」

「…どんな様子だった？」

「ん？電話だけど特に変わったところは無かったように思うけど。申し訳なさそうにしてたよ」

「そっか……人が良いんだから」

　すっぱり辞めるのは気が引けたのだろうか、その優しさが逆に辛い。


　悠里は父親に「フラれたんだ」とだけ伝えて、「しっかり勉強するよ」と付け足してから部屋へと戻った。