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しおりを挟む見知らぬ人に見られる訳でもない、ある程度信頼している悠里にだったら…万が一に見られても大事無いと思えた。
男同士なら共にアダルト動画を観るなんて話も聞く。
それが自分の所属するコミュニティとは別世界のことだとしても、そう珍しいトピックではないのだと思える。
そして見られないのなら良いのでは、箱を持つ手が震える。
自分では買おうと思っても勇気が出ない、躊躇するものだ。
検討したことはあるが、手を出してしまえば虚しくなるような気がして買えなかった。
それをコソコソと片付けるのも、洗ったりするのも、捨てるのだって恥ずかしいと想像できた。
モテない男だと決定付けるにはまだ若い、しかし実戦に臨む機会も無い。
無関心ではない、でもガツガツしているのはみっともない。
いま、ここなら…好奇心を悠里のせいにして満たせる。
悠里に強いられたから、脅されたから。
だからするんだ、心平はイヤホンに聴き入る悠里の背中を確認してから、後方のベッドへと下がった。
「……」
開封すれば、ずしっと重たいピンクの塊がお目見えする。
男性の尻を模した、桃のような割れ目の付いた塊だ。
その割れ目の間に、ちょこっとした穴が空いている。
そしてその穴の延長上に、男性器の形をした突起が大胆に配置されている。
穴に挿したら、この擬似棒の中に繋がるように出来ているらしい。
有名な自慰グッズは単純なカップの形をしていたはず、それよりも外形にもこだわりがあるようだ。
ただの棒を付けるのではなく、「相手」のモノがそこにあるよう感じられる工夫なのだろうか。
しかし穴は簡素なものだ、自身の肛門はまじまじ見たことは無いが、おそらく自分のものもこのような形状をしているのだろう…心平はビニールを剥がしてベッドの上に置いた。
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