彼女は銀狼ギャル、ときどきコアラ

茜琉ぴーたん

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5日目

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「あ、あ…つか、れた、」

「ん、仕事…行きたないな…元カレ越えたったわ、シューカ…初イキ…可愛かった…ごっつ良かったわ…ラブよ、愛の力よ、」

「大袈裟な…あふ…疲れた…あの、死ぬかと…思いました」

外出用のブラジャーをベッド下収納から探って着けながら、秋花は願いを聞き入れずに責め続けたことを糾弾する。

「え、ん、ごめん、イ、かせたいなぁて、あの、俺もイくまで止まれへんし、その、」

「息が止まるかと」

「そこまで⁉︎すまん、シューカ、ごめんな、い、以後気を付ける…ごめんやで…」

 「死にそう」なんてそれこそ大袈裟な表現だったのに、すんなり信じてしまうなんて純な人…秋花は横目で項垂れる車崎を確認してニヤと笑った。

「ジョーダン…です、あの……気持ち良かったです…ふわふわ…変な感じで…天井に吸い込まれるみたいな、変な感じしましたよ」

「へ、ぇ、怖いな…あ、俺パンツあれへん…更衣室で着替えるかぁ…」

「2日くらい大丈夫とちゃいます?」

「いや、結構緊張で汗もかいたし…」

「洗えば良かったですね」

「うんー、シミュレーション不足や…メシしよ、何時に出る?」


 事後のピロートークは時間が進むにつれて先輩後輩の世間話へ推移し、あと30分程で二人の甘い初夜が終わってしまうことにじわじわと焦りを感じてくる。

「夢みたいな日やったよ、シューカ」

「まだまだこれからですね…寂しいのは変わらへん」

「次の春まではおるからさ、また…デートもしたいしな、」

「はい…」


 「私もミズモリで働きたいです」と勢いでも言えないのは先行きの不安があるから、まだ自分の技術では役に立てないと自信が足りないから。

 そして何より車崎自身が「一緒に来てくれ」と言ってくれないから…結婚を前提と言うからには安定するまでは無いのだろう、彼の気遣いもよく分かる。

 何を置いても一緒になりたいなんて綺麗事、仕事が入らなければ困窮するかもしれないし社長の孫の生活も掛かっているのだ。

 自分はまだ自分の仕事が大切…それを車崎は責めはしないし分かってくれている筈、それでも「私を雇ってください」と軽率に冗談でも言うことができない。

「始まったら忙しなるわ…それまでに…うん、デートもな、しときたい」

「はい、……なんや変なの、この前まではただの先輩やったのに…」

「うん、好きが溢れ出しそうや、ひゃはは、」

いつもより重たげなまぶたの車崎は軽快に笑い、昨晩用意した菓子パンにかぶり付いた。


 各々おのおの準備をして朝食を摂って、秋花はリップを塗る前に車崎とキスをして…かたくハグをした。

「好きです、シンタローさん」

「ん、俺も好きやで、シューカ」

「しっかり仕事、していきましょう」

「おう、安全にな」


 名残惜しいがもう頃合、二人はそれぞれ自分の車で出勤する。
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