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4日目(夜)
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しおりを挟むぱたぱたと汗が散って背中に水気を感じる。
この人は私のために奮っている、尽くしてくれている、想えば想うほどに車崎を呑み込むように体が彼を離さない。
「あ、キッツ、ん、イく、シューカ、ええ?イくよ、」
「イっで、しん、たろさ、」
「ん、あ、あッ♡しゅーかっ!しゅう、か」
最後もやはり愛しの女の名前を叫んで、しかし寸前にサッと抜いて
「………あ、あ、ん…………ん、ん、あー…ふー…ん、ん、」
と秋花の背中に腹を付けて車崎は果てた。
「は…抜い、たん…?」
「ん…万全を…な……ふー、」
「それ…プロの人にもしてん?熟れてんな…」
「いや、妊娠したらアカンから…ちょっとでも可能性を…あの、」
突発的な情事で秋花の子細な体調も把握していない。
万全には万全を、しかし抱きたいので最低限で最大限の配慮をしたのだ。
我慢するという選択肢が無かったのかと言われると非常に痛い…しかしもちろん同意の上だし秋花も望んでいただろうし、とはいえ賢者の気分になった車崎はあたふたと言い訳を並べた。
「ふっ…ジョーダンです…安心しました…うん…ねぇ、プロの人もこんな意地悪な抱き方してんすか?」
「もぉやめよ」
「こない、お姉さんの名前呼んだりしてんすか?」
「進行形で言わんとって。もう行かへんから……名前かてお前やから呼んでん……当たり前やん」
ちなみに、彼は固定の嬢にばかり頼むとその子を好きになってしまうという純な理由から、同じ店でも毎回違う子を指名している。
更に車崎は紳士なので、指名を固定しないことで売上げを分散させてあげるという妙な気遣いでもあった。
「へぇ、そう…」
「ん……生え際、黒くなってんな」
「ええ…そろそろ…脱色はやめよかな…」
ころんと並んで横になって、指で前髪を持ち上げられると反射的に秋花は目を閉じて、ぴくぴくとまつ毛が揺れる。
「茶髪…とか?」
「んー…そうですね…全体をちょっとずつ暗く…やっぱ黒髪に戻す感じで」
「そうか…何色でも可愛いな」
「ふふッ…言うと思った」
何をしたって何を着たって、この人は自分のことを可愛いと褒めてくれる。
照れはまだ消えないし慣れないが、秋花はお決まりのフレーズに安心して深く息を吸った。
「なぁ、さっき、イきそうやった?」
「んー?イったことあれへんから分かんないっす」
「そうかぁ…何回か試そうな、うん…」
「はぁ………あ、今日?」
汗を噴いた顔が再び秋花の顔に影を落とし、腹には冷たい男根がぴとと当たる。
「まだ…帰りたない…どうする?泊まる?それかシューカん家で寝る?」
「あ……ここでもええっすけど…明日の支度とかは?」
「車にツナギはスペア置いてる…お前の化粧くらいや、準備すんのは」
「ん…したら…もう1回…シて……うちで…寝ましょうか…」
こんな寝心地の良いベッドだと最悪寝過ごして遅刻してしまう。
職場に近い自宅なら寝坊してもまだ間に合う余地があるのだ。
「いっぺんで済むやろか」
「え、あ、に、にへんでも…ええっすよ…あの、」
「ん、冗談。いっぺんシて、残りはシューカん家でな、ん♡」
「あ、あ♡♡」
時刻はまだ20時にもなっていない、腹は鳴るし汗だくで汚れているし、それでも風呂も挟まずに車崎は2回戦目に突入した。
「お前、化粧崩れへんのな、凄い」
「汗でも落ちひん、あッ♡仕事がラっ、アふ♡」
「ん、涙ならどやろな、ん?むずい、な、コレ、ココ、やねんけど、な、」
「ひン♡なに、あ、ッく、あ♡あ?」
「中イキ、させたげたいやん♡クリイキでもええけどさ、ん♡シューカ、気持ちい?」
やはり中をごりごりと抉っては彼女を悲痛に鳴かせ、
「っハ、いィ……ぎもぢ、い、れす、」
と切れ切れの感想を引き出せば男は満足そうに
「俺も♡」
と破顔う。
結局、そう簡単に秋花を昇天させることはできず…車崎は心境を逆撫でするような賑やかな電飾に照らされながら彼女の自宅まで戻った。
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