彼女は銀狼ギャル、ときどきコアラ

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
50 / 80
4日目(夜)

50

しおりを挟む

 ぱたぱたと汗が散って背中に水気を感じる。

 この人は私のために奮っている、尽くしてくれている、想えば想うほどに車崎を呑み込むように体が彼を離さない。

「あ、キッツ、ん、イく、シューカ、ええ?イくよ、」

「イっで、しん、たろさ、」

「ん、あ、あッ♡しゅーかっ!しゅう、か」


 最後もやはり愛しの女の名前を叫んで、しかし寸前にサッと抜いて

「………あ、あ、ん…………ん、ん、あー…ふー…ん、ん、」

と秋花の背中に腹を付けて車崎は果てた。

「は…抜い、たん…?」

「ん…万全を…な……ふー、」

「それ…プロの人にもしてん?こなれてんな…」

「いや、妊娠したらアカンから…ちょっとでも可能性を…あの、」

 突発的な情事で秋花の子細な体調も把握していない。

 万全には万全を、しかし抱きたいので最低限で最大限の配慮をしたのだ。

 我慢するという選択肢が無かったのかと言われると非常に痛い…しかしもちろん同意の上だし秋花も望んでいただろうし、とはいえ賢者の気分になった車崎はあたふたと言い訳を並べた。

「ふっ…ジョーダンです…安心しました…うん…ねぇ、プロの人もこんな意地悪な抱き方してんすか?」

「もぉやめよ」

「こない、お姉さんの名前呼んだりしてんすか?」

「進行形で言わんとって。もう行かへんから……名前かてお前やから呼んでん……当たり前やん」


 ちなみに、彼は固定の嬢にばかり頼むとその子を好きになってしまうという純な理由から、同じ店でも毎回違う子を指名している。

 更に車崎は紳士なので、指名を固定しないことで売上げを分散させてあげるという妙な気遣いでもあった。

「へぇ、そう…」

「ん……生え際、黒くなってんな」

「ええ…そろそろ…脱色はやめよかな…」

 ころんと並んで横になって、指で前髪を持ち上げられると反射的に秋花は目を閉じて、ぴくぴくとまつ毛が揺れる。

「茶髪…とか?」

「んー…そうですね…全体をちょっとずつ暗く…やっぱ黒髪に戻す感じで」

「そうか…何色でも可愛いな」

「ふふッ…言うと思った」

 何をしたって何を着たって、この人は自分のことを可愛いと褒めてくれる。

 照れはまだ消えないし慣れないが、秋花はお決まりのフレーズに安心して深く息を吸った。


「なぁ、さっき、イきそうやった?」

「んー?イったことあれへんから分かんないっす」

「そうかぁ…何回か試そうな、うん…」

「はぁ………あ、今日?」

 汗を噴いた顔が再び秋花の顔に影を落とし、腹には冷たい男根がぴとと当たる。

「まだ…帰りたない…どうする?泊まる?それかシューカん家で寝る?」

「あ……ここでもええっすけど…明日の支度とかは?」

「車にツナギはスペア置いてる…お前の化粧くらいや、準備すんのは」

「ん…したら…もう1回…シて……うちで…寝ましょうか…」

こんな寝心地の良いベッドだと最悪寝過ごして遅刻してしまう。

 職場に近い自宅なら寝坊してもまだ間に合う余地があるのだ。

「いっぺんで済むやろか」

「え、あ、に、にへんでも…ええっすよ…あの、」

「ん、冗談。いっぺんシて、残りはシューカん家でな、ん♡」

「あ、あ♡♡」


 時刻はまだ20時にもなっていない、腹は鳴るし汗だくで汚れているし、それでも風呂も挟まずに車崎は2回戦目に突入した。


「お前、化粧崩れへんのな、凄い」

「汗でも落ちひん、あッ♡仕事がラっ、アふ♡」

「ん、涙ならどやろな、ん?むずい、な、コレ、ココ、やねんけど、な、」

「ひン♡なに、あ、ッく、あ♡あ?」

「中イキ、させたげたいやん♡クリイキでもええけどさ、ん♡シューカ、気持ちい?」

 やはり中をごりごりとえぐっては彼女を悲痛に鳴かせ、

「っハ、いィ……ぎもぢ、い、れす、」

と切れ切れの感想を引き出せば男は満足そうに

「俺も♡」

破顔わらう。


 結局、そう簡単に秋花を昇天させることはできず…車崎は心境を逆撫でするような賑やかな電飾に照らされながら彼女の自宅まで戻った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...