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4日目
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しおりを挟む「どこが可愛い?」
「顔やと目ぇよ、初代の丸こいのも可愛いし、3代目のつり目になったのも可愛い」
「へぇ」
「あとケツな、ストーンと落ちてんのも可愛いし、丸こいのも可愛い」
「スポーツカーやのに、可愛いでええんすか?」
話題は好みの女性…ではなく車崎の好きな自動車のパーツの話である。
「俺が男やねんから、乗られる車は彼女みたいなもんよ」
「あれは?後ろの。しゃくれてる」
秋花が近づいて来る追い越し車線の車を見てミラーを指差せば、
「可愛いやん、受け口で。グリルがほんまに口の形して可愛い」
と惚れた女性を褒めるようにあらゆる部分をプラスに捉える。
「あっちの軽は?」
「軽はあんまし…お、でも気合入ってんね…いいね、」
大衆車をそのまま乗るも良し、カスタムするも良し、車に手を掛けているオーナーが彼は好きなのだ。
「シューカの車も可愛いよ、まず色がいい」
「私の好みちゃう、オトンのやから」
彼女の愛車は亡父の形見、買って1年足らずでオーナー不在になったメタリックな青色のスポーツセダンである。
「ウイングも丸こくて可愛い」
「シンタローさん、丸いの好きなんすね」
「んー、なんやろ。女性的?」
「作り手は男性受けを意識して作ってると思いますけど」
「んー…しやったら申し訳ないね、でも車は恋人みたいなもんやから」
コロコロとした軽ではなくゴツゴツした硬さ・強さの中にある軟らかさ、それは生きている女性に対してもそうなのか、秋花は骨張った手をぎゅうと丸めた。
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