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しおりを挟む目が覚めたとき、俺は下半身に不自然な温もりを感じた。
一瞬、大人にもなって漏らしたのかと思った。
しかし健康面は問題無いしストレスフルというわけでも無いし、寝慣れたベッドでそんなことは起こらないだろう。
寝起きの頭にぐるぐると様々な可能性が浮かんでは巡って、湿気は感じるが下着やズボンに濡れ感は無いことがぼんやり分かって来る。
では何だ、リセットされた記憶に「部屋には広瀬も居たっけ」と寝る前の情報が戻って来た。
漏らしたなら広瀬に見られるのは都合が悪いな、恥ずかしいな、なんて理性が働き出した頃…足に逞しい指の感触があることに気付く。
「……なに、」
「…ん、起きちゃった?ごめん」
首を下に曲げると、ベッドの端に広瀬が座っていた。
その手前にはおっ勃った俺の股間、昼だが朝勃ち状態の元気なモノがぴんと天井を向いている。
そしてそれを握る広瀬の手。
スウェットの腰紐は解かれてくったりしており、ボクサーパンツの腰ゴムは頑張って伸びている。
そのゴムで支えられてタマがホールドされて、これはこれで気持ち良いがそういうことじゃない。
「え?」
「ちょっと触ってた。手汗すごいからバレちゃったか…寝てて良いよ」
「いや、寝れるか!なに、」
「反抗できるならしなよ、出来るなら」
「……はぁ?」
俺のしでかした悪事を棚に上げて怒れるならどうぞ、と言っているのか。
そりゃ、俺の前科と天秤にかければ勝ち目は無いさ、俺は最後までしてしまったのだし。
罪になるかは広瀬の掌次第、仕方ない弱みに違いないがこれは一生言われるのだろうか。
そして、それを引き合いに何でもやらされてしまうのだろうか。
「僕ね、春妃さんとの交際を経てさ、純希との時間がすごく居心地良くて楽しかったんだなって実感してさ。別れの一連のバタバタした時もさ、知らない人に犯されてそれを悦ぶ恋人なんて要らないな、って…純希は、僕への想いを伝えて、無理矢理だったけど乱暴じゃなかった。僕もドキドキしてビビって逃げなかったし、そんな僕を力任せに押さえつけたりしなかった。次にオナニーした時も、大切に、僕に触ってくれた。傷を付けるとかそんな痛いことで僕を支配しようなんてしなかった。ずっと、僕への気持ちを黙って我慢してくれてたんだもんね…後付けに感じるだろうけど、純希は、僕にとって大事な存在だなって…思って…仲直りしたんだ」
「分かったから、離せよ」
「僕のこの気持ち、純希のそれと同じなのかなって、気になって、今日もここについて来た。入るなり襲われても良いって思ってた。でも純希は何もして来なかった…もう、僕のこと好きじゃなくなったのかなって、思ったら悲しくて…漫画読んで、寝てる間に帰ろうかなって…でも、寝顔にキスくらいしても良いかなって、もしそれで起きたら、良い雰囲気になるかなとか…期待して、でも起きなくて」
「したのか、キス」
「したよ、でも純希はイビキかいてた。本当に、元の友達に戻ったんだって…嬉しいよ、でも、僕……欲が、止められなくて。純希に触りたい、イタズラを叱られたい、構って欲しいって…思って…ごめん、おちんちん触っちゃったんだ…」
痴漢かよ、でもこれは俺が広瀬を襲った時と同じシチュエーションなのか。
大好きな奴が目の前で無防備に寝てたら、触れてしまうものなのか。
両想いなのか、勘違いなのか。
掴まれたソコはいまだガチガチを保っている。
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