大好きな奴と、一緒に笑っていたいんだ…わんこ男子はイジられ上手

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「（マジかよ、入れちまった）」

　広瀬はいつも通りの席に着いて、持ち込んだペットボトルの茶を飲む。

　俺は嬉しくもあるが戸惑いの方が大きくて、対面に座るのが怖かった。

　クソ女が仕向けた報復だったらどうしよう、取っ組み合いだと俺は広瀬には勝てない。

　でも暴行を表沙汰にされないなら私刑もマシなのか、エアコンを点けて、とにかく広瀬が話し出すのを立って待った。


「…何もしないから、座りなよ」

「…いや、信用できねぇだろ、お互いに」

「…そっか」

広瀬は寂しそうに、ポリポリと頭を掻く。

「…要件は？」

「実は…春妃さんとは別れたんだ」

「はぁ⁉︎何でだよ⁉︎」

　あれだけ惚れていたくせに。

　ケツを拡げられても構わないくらい、好いていたくせに。

　俺まで巻き込んで、忠誠を誓っていたくせに。

　呆然としていると、広瀬は情けなさそうに笑った。

「物足りないんだって、従い過ぎて」

「はぁ？」

「もっと抵抗とか、逆らって欲しかったんだって」

「はぁ？」

「育て甲斐が無いって」

「はぁ」

　にしても保もった方なのでは、交際は３ヶ月は続いていたのではなかろうか。

　広瀬は「ふー」と腰を落ち着けて、足も崩してリラックスの姿勢を見せる。

「素質を見抜いて育てる、のが楽しいんだって。それで…同時進行で５人くらい同じことさせてたみたい」

「げぇ…やっぱりクソ女じゃねぇか」

「ははっ…そうだね、その通り」

「…お前、ケツの開発とかされちまったのか？」

「んー…されかけた、かな。ざっくり言うと、オモチャで弄られたんだけど、想像してた反応じゃなかったみたいなんだ。それで、未経験じゃないことがバレて…解放されちゃった」


　気色の悪い話だ、広瀬の語りでなければ聞いていられない。

　しかし前にモジモジしていたのとは違い、広瀬はスッキリハッキリとした物言いをする。

　吹っ切れたということか、当事者でありながらサラリと説明できるくらいに耐性が出来たのか。

「…それで、５股してるって言われたのか」

「うん…最終的には、M奴隷たちを絡ませようとしてたみたい」

「おえ」

「中には女の子もいたみたいだよ…その子をオスにして、男をメスにして、番つがわせて愉しむ、みたいな計画だったらしい」

「…お前…無事で良かったな…」

　クソ女にはＳっ気の他にカリスマ性みたいなものがあったのだろうか。

　平凡な世界を壊してくれる神サマ、救世主、のような。