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「マジで、挿れるよ?」

「あの、怖くて、変に動けない、」

「あーそう、じゃあそういう理由にしとこ、ガチのMなんだな、ん、」

「言わないで、自覚してる…本当、怖い、なのに、ドキドキして、ごめん、変態で、ごめん…」

 謝るなよ、突発的に襲った俺が悪いのに。

 せめて俺を責めろよ、こんな時まで広瀬は優しい。

 でもこれもマゾ活動の一環なのかも、痛みも恐怖もエクスタシーへの味付けに過ぎなかったりして。

「じゃあ、精一杯嫌がってくれよ、報告するかどうかはお前に任せるから」

「こわ、い、あ、どうしよ、勃起しちゃった、」

 男は緊張状態だと勃起しない。

 個人差はあるだろうが、少なくとも広瀬は心底からの恐怖は覚えてないようだ。

 勝手な解釈だろうが、そう思い込むことにした。

「後ろに集中したら、萎えるらしいぜ…な、俺のせいにして、愉しめよ」

「なに、は…純希ィっ…!」


 せめてローションを足してやれば良かったな、先端を押し込んでからそう後悔した。

 プラグによりお膳立てされたソコが、にゅるにゅると俺を呑む。

「ははっ…すげ、広瀬ぇ…まだ先っちょだ、分かるか?」

「あ…こわい、よ、純希、やだ、」

「萎えたじゃん、こっちに集中して、俺に、俺のこと、考えて、あの女のことなんか忘れて、」

「あッ!あ、あー、」

一思いに奥まで挿すと、切れ切れの悲鳴が部屋にこだました。

 ふぅふぅと深い息が漏れて、ふるふると首が揺れている。

「広瀬、痛い?」

「いた、い…純希、何なんだよ、痛いよぉ…」

「ごめん、俺は超気持ち良い」

「ふああ…こんな、の、おかしい、よ…」

「どの口が言ってんの、女にアナルプラグ挿れさせられてる奴が…なぁ、写真撮ってやろーか?」

一層深く挿して、足元のスマートフォンを探る。

「やだよ、バカ、純希、」

「接合部な、クソ女に送ってやれよ」

「やめて、お願い、嫌われたくない、」

 俺に尻を見られるくらいなら許容範囲なのか。

 蹂躙されれば、それはもう浮気か。

 普通の異性に置き換えれば確かにこれは不貞だよな、置き換えなくても分かることなのに少し遠回りをした。

「ふーん、ふふっ…んー…広瀬、ぐちょぐちょ言ってんな、ケツ、気持ち良いか?」

「わがんないよッ…マジで、純希、これから、仲良く、出来なくなるッ」

「んなこと、覚悟してんだよ、天秤にかけて、この1回が欲しくなったんだよ!」

「ふあ、あッ…やべ、でェ…じゅん、き、」

 写真は撮らず、スマートフォンは再度床に落ちた。
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