大好きな奴と、一緒に笑っていたいんだ…わんこ男子はイジられ上手

茜琉ぴーたん

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「お邪魔します」

「うん…まぁ座れよ」

 いきなりラブな空気にはなるまい、とりあえずいつものように定位置に座る。

 広瀬はもじもじと目を泳がせつつも、何か言いたげに唇をぱくぱくさせてタイミングを測っていた。


「広瀬?あのー、もしかして、この前のこと通報するみたいな話?」

堪らず、俺から話を切り出す。

「あ、違くて…きょ、今日はその…み、見て欲しくて」

「…何を?あ、ハメ撮りとかやめろよ」

 もしや俺とのことがカノジョにバレて、燃え上がってしまったか。

 そして俺への制裁として、イチャラブ写真でも見せる気か。

 もちろん、広瀬が恥ずかしがることも加味して、俺を巻き込んだプレイの一環として。

「違う、けど…違わないかも…」

「うん?」


 キョトンとしていると広瀬はバッグを漁り、紙袋を取り出した。

「……?」

「あの、これ…ローション、あの…」

「え、掘られに来たの?」

 まさかのカップル成立か、なんて浮き足立ったのは一瞬。

 広瀬は

「違う!僕の、お、オナニー、見てもらいたいの、」

と段々と声を細くして暴露した。

「は?見れば良いの?」

「うん…」

「あ、あのクソ女に強いられてんのか」

「クソとか言わないで…」


 ごにょごにょと漏れる断片的な情報を繋ぐに、どうやら「親友にオナニーを見てもらって羞恥を感じる」プレイらしい。

「あの、僕が、純希と仲が良いって話をしたら、そういうのを提案されて…び、BLに興味があるみたい、リアルでどうなるか、試してみたいって…言われて…」

「広瀬、俺の前にチンコ出して、無事で済むと思ってんの?」

「……叫べば、やめてくれるかなって…」

「お人好しだな…まぁ、見るだけなら付き合ってやるよ……なんか、点けようか?エロいの」

オカズの提供くらいしてやろうか、スマートフォンに手を掛けるも広瀬は「ううん」と断る。

「純希に、見られることが…ポイントらしいから…」

「飼い慣らされてんなぁ…良いけどさ」

 同じ要求を俺がしたら従ってくれるのか、たぶんしないだろう。

 でも切迫した様子でお願いすれば叶えてくれるんだろうな、俺は広瀬の人の良さも好きだ。


 俺はよいしょと座卓を退けて、隔たりを失くした。
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