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しおりを挟む親友に恋人が出来たらしい。
年上の社会人で、大学のOGだそうだ。
サークル活動で仲良くなり地道なアタックを続けていて、1年の努力が実ったとか何とか。
俺・純希はその報告を「ふーん」と聞き流して、持ち寄った菓子を開けた。
「純希も喜んでよ」
「関係ないし」
「あっそ、まぁいーや。課題やっちゃおー」
「……」
俺のアパートで課題を片付けるのがいつものやり方で、これが卒業まで続くもんだと思っていた。
しかしパートナーが出来たのなら、この時間も徐々にどころか一気に減るのだろう。
俺…純希は、高校からの親友である広瀬時也のことが好きだ。
男性として、広瀬に性的興奮を覚える。
もちろん積み上げて来た信頼とか分かりきった性格とか、そんなのも込みで好きなのだ。
なので、恋人が出来たとなると具合が悪い。
俺が勝手に想っていただけだから止めることも出来ず、ましてや男同士なのだから告白して実るとも思えない。
広瀬はノーマルだし初彼女に浮かれているし、喜びに水を差すなんて出来ない。
付き合いが続けばいずれ肉体関係を持って、結婚とかしてしまうのか…俺の悔しさは、どちらかと言えば女の方に向いていた。
俺は元来、女があまり好きではない。
人間として見れば接することは出来るが、媚びたり可愛こぶったりする仕草が好きではない。
なので、広瀬を誑かした女のことが憎くて堪らない。
でも俺に勝算は無い。
だから極力恋バナに話題が行かないように、会話をコントロールするしか出来なかった。
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