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しおりを挟む「美味い?」
「うん!美味しい♡ありがとう♡」
「和久ちゃんに言いな、あれの発案やからね」
「うん、………あ、お巡りさんだ」
そう言われて垣内が振り返ると、近所の交番から来たと思われる自転車を押した制服警官が広場の前で歩みを止める。
「あー、やっぱり神石さんかぁ…ごめん、通りがかりの市民からの通報でね、『怪しげな男が少女の手を引いて歩いてる』って言われてさ、確認しないわけにいかないからー、」
「あ、すんまへん…まいど」
「本当だよもー、紛らわしいことしないでよね、垣内さん。まぁ皆が見てくれてるって事だから許してよ」
地元企業は商工会や地域の交番とも連携が密、この警官とも見回りなどでよく一緒になるのだ。
「平和でよろしいやん。構わへんよ、実際俺、怪しいもん」
「自覚あるなら自衛しなよ。…雅ちゃんも、もし危ないことされそうになったら大きい声出して逃げるんだよ?じゃあね…」
「?はーい」
「せぇへんって…もー、敵わんなぁ……はよ行きや…」
やはり自分たちは並んで歩いても恋人どころか主人と使用人にも親子にも見えないらしい、垣内は渋い顔で警官の背中を見送り痩けた頬を撫でる。
「ねぇ、危ないことって例えば?」
少女は男を試すように、上目遣いで垣内を窺った。
「うん?んー………例えば……俺が……お嬢の体触ったり?」
「なんや…そんくらいなら大丈夫やけど」
「えぇ?いや、あかんて。危機感持たな…ええか?お嬢くらいの歳の子に、ええ大人が触ったりすんのは絶対あかんの。いや、年齢は関係無くな?勝手に触られたら絶対に嫌がらなダメよ?」
荒っぽい男の中で育て過ぎた、これからは慎ましさと体の守り方も教えねば…垣内はあたふたと言葉を選んでは危機管理を教え込む。
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