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しおりを挟む「ところでさぁ、あの…もうちょい、大人しい格好でけへん…?」
「「は?」」
幼い主人からの要請に、成人男性二人の声が揃う。
「いや、わざわざスーツに着替えるの面倒やろ?その…恥ずいねん…新しい守衛さんも驚いてたし…」
「えー、ほな仕事用のトラックで来よか?もっとジロジロ見られんで?」
和久が口元だけ笑えば、
「スーツの方が雰囲気出るやろ?映画みたいで楽しない?」
垣内は胸を張って雅へ流し目をくれる。
「いや…まぁ…カッコええけど…普通の車もあるやんか、普段着でもええし……あの…友達にも聞かれてん、『危ない人なん?』って」
自宅には国内メーカーの大衆車もあるというのに、送迎となると和久はまずこの大型輸入車のキーに手を掛けるのだ。
私立といえども庶民の学校、駐車区画に収まらないほどの黒塗りの車と彼らの風貌は嫌でも目立つ。
「危険な香りか、俺らも大人の渋みが出てきたんと違うか?うぃ、和久ちゃん!」
「せやな!ひとつ上の男やな…危険な仕事に変わりないしな、」
彼らはまた声を合わせてひゃっひゃと笑い、垣内は黙ってしまった雅をトドメの一言で制する。
「お嬢、お嬢ひとりに男が二人も付いてんねんで?なんやワクワクせぇへんか?え?」
「………うん…する…」
少女を守る二人のボディーガード、その特別感は雅に少しの恥じらいと刺激、そして実はたっぷりの優越感を与えていた。
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