お嬢の番犬 ブラック

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　さてこの「はや君」こと垣内かいち隼人はやとの風貌だが、齢よわい30にして頭をギラギラの金髪に染め上げており、耳の上まで刈り上げたサイドの髪には時たまラインを剃り込んだりと…ずいぶん遊び人の様な風貌をしていた。

　身長は175センチと黒スーツがサマになっている。

　だが中肉中背とは言い難い華奢きゃしゃ体型、そして猫背故に立ち姿が目立つ。


　垣内はそのまま助手席へ乗り込み、運転席のこれまた黒スーツで寝ている男を揺さぶって起こした。

「和久わくちゃん」

「ん、」

運転担当の和久界斗かいとは垣内と反対に飾りっ気の無い坊主頭で、身の丈190センチの大男である。

　単独だと悪さなどしない、むしろ仕事ができる男だ。

　しかし同い年の垣内が絡むとどうも「男子」ノリを出してくるので注意…と屋敷ではそう扱われている。

　彼ら黒服二人は雅みやびの使用人、SPとまではいかないがこうした送迎を行う人員で、垣内は「はや君」和久は「かい君」と彼女に呼ばせている。

　年端もいかない子供が大人を呼び捨てにしていては彼女の品性が疑われる、これは彼女がおしゃべりをできるようになってから皆で決めたルールであった。