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「…どうしよっかな」

 このふた月は自分でも驚くほどにというか逆に意識しないくらいに上手くいき過ぎていた。

 知り合いから恋仲になりゴールイン、事象だけを大まかに繋げればそう説明できんこともない。

 聡太は自分のことを真面目だとか誠実だとか評されることは多いしそのように自認していたのだが、どうも「人が良いだけ」なのではないかと思ってしまう。

 得体の知れない家族に戸籍を渡す恐怖、彼の中では清水一家はとてつもなく悪どい一派に思えてならないのだ。


「搾取されるのかな…薫ちゃんもいつの間にか仕事辞めて僕が1馬力で稼いでそのお金で薫ちゃんの家族を養うとか…んー…」

 世の中では様々な犯罪が日々行われている。

 思いやりを搾取されたり洗脳されたり無知ゆえに騙されたり。

 多額の保険金を掛けられて殺されてしまったり、自分がその当事者に絶対ならないなんてことは言い切れない。


 話し合わねば解決しないことも分かっているが自分は既に薫を抱いて、しかもおそらく初めてを貰ってしまった。

 聡太の背中やら顔やらに冷や汗が滲む。


 誰かに相談しようにも自業自得と言われては敵わないし、昨晩は覚悟を持って愛した訳だし。

 スーパーの駐車場に停めた車内でぐじゃぐじゃと考え込んでいるうちに昼が過ぎて夕方になり、

『晩ごはんまでには帰って来てね』

と婚約者からメッセージが届いたのを確認してからエンジンをかけた。
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