ライアー・ブライド…真面目な僕らの偽装結婚

茜琉ぴーたん

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 思い起こされる入社からこれまでの片想いの軌跡。

 親しくなりたくても意地を張り余裕ぶり遠巻きに眺めるもどかしい日々。

 せめてもう少し、いやもっと可愛げがあって媚びたりお願いが自然に出来る性格だったら良かったのに…女性客に対応する聡太を見る度にそんなことを思った。

 社内恋愛でまとまるカップルは多いというのに自分にそのチャンスは巡って来ないのか。

 そもそも聡太はフリーなのか、挨拶と軽いトークだけで作り上げた関係性ではそれ以上踏み込めなかった。

 自分の知らない間に知らない所で知らない女性と聡太がカップルになっていたらどうしよう、この数年何度も夢に見た。

 そんな朝は決まって汗びっしょりで、悲鳴に似た自分の寝言で目が覚める。
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