ライアー・ブライド…真面目な僕らの偽装結婚

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　一方で…自宅へとひとり帰る薫は思い切った今回の行動を少しどころか大変深く「やっちゃった」と後悔していた。

　しかし「やらなければ良かった」というよりは「もう少しやり方があったよね」という方向での後悔だった。


「ふー……お父ちゃんとお母ちゃんに連絡しなきゃな……はぁー…」

　年老いた両親、他に頼りのないひとり娘…これは自らの前途を悩んでのため息かと思いきやそうではない。

　望地一家を騙してしまったことへの罪悪感からくるものだ。


「いつ、打ち明けようかな…」

　何を隠そう彼女の両親は瀕死ひんしどころかピンピンしており…まだ還暦にも達してないしアウトドアが趣味の元気すぎる夫婦なのである。

　さらに薫は３人兄弟の真ん中っ子、それぞれ自立しているし兄は子持ちで、つまりは両親には孫もおり順風満帆な暮らしをしている。


「……ま、上出来よ」

　関門を突破した薫はやり切った感を優先して自分を褒めてやり、聡太の温もりを思い出してはニヤける頬をむにむにと摩さすった。



つづく