17 / 30
衷心—ちゅうしん—
17
しおりを挟む「ふッ、ゔんッ」
「ひあッ…ひゃア…」
奥まで沈み込んで来る塊が恐ろしくて、身体が逃げようとする。
でも引き寄せられて脚がしっかりと喰み合って、大きな影や荒い吐息に女の本能がきゅんと疼く。
「(先生、上手く、出来ていますか)」
先生の目にはきっと私は映っていない。
お母さまをイメージして欲をぶつけてらっしゃるのだから。
没頭する先生を見上げれば、キリキリと胃が詰まるような妙な感覚がする。
これは嫉妬なのだろうか、それとも恋ゆえの胸の痛みだろうか。
「(気持ちー…)」
張り型に抱かれている時は快感などありはしなかったのに、生身相手だとこんなに溢れるのだから不思議だ。
初めての緊張もあるのだろうが、先生に無茶苦茶にされているのだと客観的に考えると羞恥心が跳ね上がって仕方ない。
けれど、しかし、先生が抱いているのは『母親を模した私』なのだ。
私がどうしようが関係ない、先生の脳内で補完されている母親が責められるのを愉しんでおられるのだ。
私は先生を尊敬していて、慕っている。
間接的に金銭が動いているとはいえ、吐き気を催すほどの嫌悪感などがあればとてもじゃないが務まらない。
奴隷同然な暮らしでもおかしくないのに、穏やかで安らげる人生を保証してくれた先生。
母親の思い出をもじもじと話し、夢中で私を抱く先生。
愛情なんて分からない、けれど私は『私』として抱かれたいからこんなに切ないのではないか。
母親の影を晴らして私を見て欲しい、私を抱いて欲しい。
普段はこんなに焦がれることは無いのに、繋がっているから先生を所有したように勘違いしているのだろうか。
いや、所有されているのはこちらなのだけど…実像の無い母親相手に嫉妬するくらいには私は先生に執着している。
「お母さんッ…もう、イく、」
「ひン…激し、いッ」
「あー、イく、イく、」
「きゃっ」
腰を入れて打ち付けていた先生は、スパートから数秒で果ててしまった。
そしてその刹那に自身を引き抜いて、大きく振りがついたものだから噴出したものが首の辺りまで飛んできた。
顔射スレスレというところか、興奮を抑えつつ脱力すれば、覆い被さる先生はモノを掴んだまま固まっている。
「先生?」
「……すまない、汚してしまって」
そうか賢者タイムというやつだろう、知識としては心得ている。
頂点まで達した直後に襲いかかる虚無感や嫌悪感をやり過ごす時間のこと、放心状態に陥る時間のことだ。
少々汚れるくらい何でもないのだが、先生は身を起こして大きく息を吸い吐きしては無理やり落ち着こうとする。
「問題ありませんわ、お好きに使って頂いて構いません」
「いや、こういうのはもう…やめよう、すまない」
やけに極端な賢者だこと、一時の気分を軽々しく口にするなんて先生らしくない。
何でも受け入れる対象なのだからお好きになされば良いのに、でなければ私の役割が失くなってしまう。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる