先生、秘書に赤ちゃん扱いされる気分はいかがですか?

茜琉ぴーたん

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大願成就—たいがんじょうじゅ—

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「おっ…お…」

「呼び方は『先生』でよろしくて?その方がより情けなくて堪らないでしょう」

「あ、ぁ…構わ…いません、」 

「私のことはこの時は聖美さまとお呼びになって。私は口調は変えられませんからこの調子で行きますけれど…先生はきちんとした言葉をお使いになってね?」

「は、い…」

 年季の入った背中にタイトスカートの尻が沈む。

 体調管理は万全なのでそう重くはないはずだが…慣れないからピキピキ骨に来ているかもしれない。


 私は幼い頃から、このようなことばかりを養母から教わって大きくなった。

 身分ある人が安心して欲望を満たすための道具として育て上げられ、その見返りとして莫大な金が養母へと支払われている。

 養母はそういった人身売買を生業としており、これまでにも数十人の少女を育てては出荷していた。

 政治家だったり音楽家だったりお医者さまだったり、女遊びをリークされると都合が悪いと感じてらっしゃる方を顧客としている。


 私は数年前から「この方に仕えるのよ」と言われて練習を重ねており、その技を活かしてこれからの人生を先生の下で過ごすのだ。

 私に保障されるのは安定した生活、食うに困らず住むに困らない素晴らしい生活だ。

 それが人間として当たり前だと思える人はその幸せに気付いていない…当たり前に与えられなかった私からすれば勿体ない幸福である。

 ズタボロの幼少期、養母に引き取られるまでは毎日が地獄だった。

 もうほとんど記憶も無いけれど、非力な子供でなければあいつらをぶん殴って殺してやりたいと何度思ったことか。


 内なる暴力性を養母が見抜いていたのかはさておき、私のゆくゆくの派遣先はこの須軽谷先生に決められた。

 先生は要望を既に伝えており、養母はそれに見合う女を作り上げたのだ。

 貞淑な女が好みだという殿方にはそのように、激しい女が好みだという男にはそのように育てた女をあてがう。

 先生の要望というか趣味というか隠れた性癖は被虐欲求…つまりは虐められたくてパートナーを探していたのだという。

「先生、もう限界ですの?腕が曲がってますわ」

「まだ、やれます…あー…」

耳をぴっと引っ張れば、痛みのせいではなく先生が鳴く。

 親子ほど歳の離れた小娘に虐げられるなんて普通は無いこと、そしてそうされて悦ぶなんてのも普通は無いことだ。

「歩けますか?馬のように」

「はい、」

先生はゆっくりゆっくり、私を乗せて床を這い始める。


 党では役を任されたりこの先は大臣との呼び声も高い先生がこんなになるなんて…

「先生、党の方がこの姿を見たらどうお思いになるでしょうね」

そう囁けば、声にもならないくぐもったため息で背中は少し凹んだ。
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