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12月
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しおりを挟む世の中には口が上手い人はごまんと居て、どちらかと言えば愛花も仕事中の和田もそちらへ分類されるタイプの人間である。
しかし接客の場を離れた和田は人付き合いが苦手で不器用で嫉妬深くて気にしぃで…でも打ち解ければ冗談も通じるしよく笑う好青年だ。
そんな彼の「べっぴんさん」の言葉はひどく愛花の胸を抉り、「好きや」というフレーズは心の奥へ刺さって違和感を残して消えてしまった。
喉に魚の小骨が掠ったような張り付いたような、呑み込んでもそのじくじくとした気持ちの存在感が気になって仕方がない。
・
年末、事務所にて。
「ねぇ、出会ってひと月で恋愛に発展するってあると思う?」
愛花は唐突に、休憩中だった知佳へ質問を投げた。
「あり……でしょ。どっちかの一目惚れとかならあり」
「そういうんではなさそうなんだよねー」
「…アイカちゃん話しやすいじゃない、人との距離を縮めるのが速いから、通常より進展が速い…とみてもいいんじゃないの?私も人見知りだけど、アイカちゃんと打ち解けるの早かった覚えあるもん」
性格が合うとか共通の好きな物があるとか、そんなことがあれば愛花はすぐに人の懐に入ってしまえる。
「えー…そう?」
「うん。アイカちゃんの1ヶ月は通常の3ヶ月と捉えてもいいと思う…あと、お見合いとかってそのくらいの進行スピードじゃない?交際数ヶ月でも結婚したりするし、」
「すごい褒めてくるーチカちゃん、もう」
「うちも……出会って2ヶ月とかで付き合ってるから…うん、期間はあんまり関係無いとは思う」
期間よりも密度、経験済みの知佳は控えめにだがそう主張した。
もっとも、知佳の場合は相手の一目惚れから始まっているので進展が早かったというのもあるのだが。
「そうなの?そうか…ドラマだってすぐトキメキ展開になるもんね」
「あれはときめく所だけ切り取ってるしフィクションだからね」
「恋になるのかねぇ」
「一番楽しい時じゃん」
和田と愛花、二人はいい大人だがオトナの恋愛には正直疎い。
ともあれ二人の出会ってひと月目はこんな具合で過ぎていった。
つづく
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