そういうギャップ、私はむしろ萌えますね。

茜琉ぴーたん

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1月

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 年が明けて1月、年始。

 元日のみ定休日として全員休み、翌2日からは正月セールでバタつく例年通りの慌ただしい量販店の年初め。

 愛花あいかはもちろんメインレジへ、官公庁や企業が休みで余裕のある法人事業部も各部門のサポートへ回って大忙しである。

 和田わだはレジ部門のフロア長も兼ねるため主にレジ回りをパタパタと駆け回り、各種案内やクレーム対応に追われていた。


「あぁ…やっぱり…本店の忙しさはえげつないな…」

少し客足が落ち着いた夕方、レジカウンター内でこっそり水分補給をしながら和田が呟く。

「北店はここまでじゃないですか?」

背中でそれを聴いた愛花は、周囲を確認してから振り返って尋ねた。

「しやね、やっぱり規模が……ぷは…でもええな、これぐらい忙しないと、やる気が出えへんわ」

「向上心がおありなんですね、大変立派です」

商品を持ったご婦人がレジへ来たため、愛花は話を切り上げて会計に入る。

「お客様こちら、お車までお持ちしましょうか?」

 ある程度の大きさからは車まで運ぶポーターの取り組みがあり、特に年配の客だったり子連れだったりすると非常に助かるサービスである。

「お客様、お車でお越しですか?お運びしますよ」

そう声がしたと思うと、さっきまで後ろで伸びていた和田はカウンターを出ていて、会計したばかりのプリンターの箱に手を掛けていた。

「行ってくるわ、」

「はい、お願いします」

「ほな降りましょう、あぁ、ええですよ、それより今年の年越しは……」

和田はシャキッと対人スイッチを入れて、世間話をしながらエスカレーターで一階エントランスへ降りて行く。

 さすが本人曰くの『マダムキラー』の異名を持つだけのことはある、その凛々しい目で見つめられたら女性客はイチコロだ。


「ホストかい…」

愛花は小さくなっていくその背中へボソッと呟いた。





 ムラタは元日は一斉休業、大晦日おおみそかは時短営業だったため、愛花は終業後すぐに車で実家へ帰り年越しをした。

 実家はすでに兄が継いでいるため滅多には帰らず、お客様気分でのショートステイに限っているのだ。

 久々の帰省では親からの「もっと帰ってきなさいよ、できれば孫を連れて」という要求をビシバシと受けてしまった。

 今時は30代・40代での結婚も珍しくないし、なんなら独り身の人だって増えている。

 なんて言い訳も虚しく、「ならば近所の○○さんの後妻に入るか」などと冗談か本気か区別の付かないことを言われたりもして、愛花は逆に疲弊して兵庫に戻ったのだった。
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