俺はこの顔で愛を釣る

茜琉ぴーたん

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30・悠一side・この顔に生まれて(最終話)

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 あぁ至福、食われることはあっても食わせることはこれまで無かった、やはりオーラルセックスはするのもさせるのも好きだな…俺は歪んだ感情を隠しもせず、床にうずくま香澄かすみちゃんの後ろ頭をぐりぐりと股間へ押さえ付ける。

 彼女は推しのテレビ出演の情報を知りたくてこんな奉仕をしてくれている、俺を弟のスポークスマン扱いするのは初めてだからサービスしてあげても良かったが、ダメ元の誘いに乗ってきたから案外乗り気なのだろう。


「あー…香澄ちゃん…上手…あ…堪らん…ん、もっと深くくわえて、そう…あー、香澄ちゃんの喉♡はぁー…名器♡」

「グふ」

「ん、ありがとね…もうええわ……ありがとう」

 脇の下を抱え立たせて胸に抱く、唾液が光る唇をついばめば彼女は目をまん丸にして驚いたようだった。

「ン⁉︎」

「ふ…なに、」

「いや、この口と…キス…」

「俺のちんちんと間接キスやな、ひひっ…あんまり抵抗あれへん」

「そう…」

彼女はなんだかふに落ちない様子で、疲れたあごを手でほぐしてベッドへぺたんと座り込む。


「香澄ちゃんが大っきくしてくれた象さん、挿れよか」

「象はええって…もう」

 呆れつつ服を脱ぎ始める彼女へ

「…俺さ、あの人に言われてんけど、『エッチ下手』やて。まぁ自覚も今はあんねんけど…そう思う?」

と問うてみた。

 あの人とはストーカー女のこと、1回でも体を交えたというのに俺は愛情など感じていないのでそんな失礼な呼び方をいまだにしている。

「そういや前も言ってましたね…んー……上手・下手は分からへん…私もまだビギナーやし…」

「ちんちんでイかせたこと無いねんなぁ…目標やな」

「…大切にしてくれてるっていう…気持ちが感じられたら…相手も気持ちいいんと違うかな…私は他の人を知らんから分かれへん」

下着を剥がしてぽいと床へ落として、香澄ちゃんは難しい顔をして俺に背中を向けた。

「ふーん…まぁ他を体験さすつもりはあれへんけど」

「うん…」

「なに、もしかしてヤキモチか?」

「…ちゃうし」

そう言いつつも膨れた頬がぷくっと丸くて触りたくなる、バックハグで羽交締めにしても彼女はそう暴れなかった。

 彼女を前にして他の女の話をしたのは失態だった、俺はまぁまぁとなだめて胸を揉んで、指で股の具合を確認する。

「もう香澄ちゃんしか抱かへん」

「どやろ…モテてええ気になって…浮気しよるかも」

「せんように見張ればええやん」

「むー」


 よしよしとコンドームを準備しつつ彼女の機嫌を取る、ここまで下手に出てまで抱きたい相手は香澄ちゃんだけだ、俺は案外追いたいタイプなのかもな…細い背中を見ればぞくぞくと血が沸いた。

「性処理とちゃう、俺なりの愛情持ってしてる…な、可愛い顔見して」

「いま可愛いない」

「見して、」

「イヤや」

「ほなこのまま乗る?背面座位」

 乗られるようで操縦しているようなあの体位もいいな、一辺倒ではなく色々なことをして二人に合ったスタイルを見つけたいね、けれど彼女は

「…?イヤや、普通の…正常位がええ」

と言うので身体を回して慣れた体勢を取る。

「香澄チャン、体はらかい方?」

「?分かれへん、⁉︎っあ、あ、」

「ひひっ…まんぐり返し♡軟らかいやん、あー…堪らんなァ♡ン♡」

白い谷間にピンクの割れた肉、下のお口と俺の口のディープキスだ、視界の端にあわあわと震える上の口が映って気分が良い。

「うわ、あ、降ろして、ゔア♡悠ッ…あ、」

ああいいかわいい♡」

「いやや、ぁ、ァ♡」

「んフ…ん♡ん♡」

「へんたいぃ…」

んむむせやで


 しっかり慣らしてコンドームを装備して、脚を降ろしてやれば涙でぐしゃぐしゃの顔が安堵で僅かに柔らかくなった。

「ん……キスしよ、ベロ舐めて、」

「ん、ン……んン⁉︎」

「ンあ……あー…安定の気持ち良さ♡」

「ふあ…挿れるなら言うてよ…ぁ…あ、」

 だんだんと生意気が増してくるベビーフェイス、その可愛い顔を歪ませて泣かせられるんだからどれだけ偉そうにされてももはや気にならないし構わない。





 そこからたっぷり楽しんで、俺なりに『愛して』、さてネヤガワラ情報を教えてあげようかと思えばベッドに転がる彼女は

「もうSNSで知ってんねん」

とぬかす。

「…ズルいやん」

「そう?ネヤを餌にするんもズルいんと違う?」

「…俺はそれくらいしか香澄ちゃんを引っ張る材料があれへんから」

 ただの俺とのデートはご褒美には当たらないだろう?平静な頭で少々卑屈に構えれば彼女はキョトンとした後に涙袋を持ち上げてニンマリ笑った。

「そんなん無くても、デートするやん。悠ちゃんはナリとはちゃうし…よお見たら顔つきもちゃうし」

「俺の方が冷たそうやろ」

「冷たいいうか……理知的で紳士っぽい感じが好きやなぁ」

「………そう?」


 紳士とは意外、「シュッとしてる」なんて言われることはあるがそこまで俺はジェントルマンな行動はしていないしヒゲも生やしていない。

「うん、初対面でそない思うたよ。執事っぽい、なんやろ…気品がある。……性格は下品やけど」

「そう…気品か…ええ表現やな」

「うん…なに、嬉しかった?」

「ん…変態紳士らしく日々精進するわ」

 俺がそう言うと香澄ちゃんは苦笑し、けれど俺の首に腕を回して

「成田悠一が好きやねん、顔から入ってその次がすぐ体やったけど…まぁええかなって思うてる」

と口付けをくれた。


「香澄ちゃん、好きよ…たぶんシワシワの婆ちゃんになっても」

「わぁ…ねぇ、悠ちゃんがロリコンになったキッカケのアニメ、観てみたい…DVDとか出てへんの?」

「実家にビデオはある…探してみよか……コスプレとかしてくれる?」

「……三次元にも萌えてくれるなら」

「ひひっ♡」


 
 きっかけは弟だ、あいつが居たから俺は香澄ちゃんに見つけてもらえた。

 今度寝屋川の実家へ彼女を連れて行こう、幼少期の兄弟の写真を見せて「どっちが俺か?」なんてクイズで彼女の愛を試すんだ。

 そして好きなアニメを観せて少女の魅力を分かってもらおう、引かれるだろうがコスプレだってしてもらって可愛い香澄ちゃんを抱きたい。


 可愛くて好みの彼女を釣れたんだ、俺はこの顔で生まれてきて良かったなぁなんて…香澄ちゃんの瞳に映る自分と目を合わせてニヤリと笑った。



おしまい


*関連作『どうも、ネヤガワラです。』もどうぞ!




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