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12月・嫁が可愛いのでどんな夜も燃える
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しおりを挟むさて話は現在、12月に戻る。
騎乗位を試した金曜、その翌金曜日も避妊はしたが同様に勤しみ、さらにその1週間後の昼のこと。
「おぅ、どないした⁉︎腹痛いんか?」
台所で蹲って小さくなった嫁を発見し、守谷が駆け寄る。
「ん…生理で…ちょっと痛いだけや…薬が効かへんかった…」
「お前の『ちょっと』はちょっとやあらへん、寝とれ、な」
「ん…」
未来は初日にずんと痛みが来るタイプで、以前は吐き気どころか嘔吐してしまうほどに症状が酷い時もあった。
産後に吐き気症状は改善、それでも重い痛みは変わらずで、我慢強い彼女は朝から黙って堪えていたのだ。
「おい、あ、立ちくらみか、掴まれ、ミラ、おんぶすんで。……よっと」
リビングでDVDを観ている息子に一言断り、寝室まで嫁を運びベッドへ下ろしてやると、
「ありがと…」
と気丈な嫁が力なく笑うので守谷は余計に心配になる。
「ほい、布団な、かけて、……なんや、」
青白い顔色の嫁が、虚な目で守谷の服の裾を掴んで離さない。
そしてしっかり者の彼女が消え入りそうな声で
「撫でてぇ…頭と、お腹と…」
と訴える。
「ええよ、うん…」
体の作りが違うのだからどうしたって分かってあげられないその痛み、代わってあげられるなら代わってやりたい。
守谷は本心からそう思っていた。
「……はぁ、生理来てもうた…」
未来は目元を腕で隠して上唇を噛む。
生理が来る、ということは今回の子作りは成就しなかった、ということだ。
また妊娠には繋がらなかった…そこまであせることでもないのだが、生理時のホルモンバランスの影響もあるのだろう、未来はひどく落ち込む。
「ええわ、気にすんな。ミラはまだ若いんやから…赤ん坊できるまで、何べんでも仕込んだるって」
夫とてそれなりにショックはあるが、ともあれ今はとりあえず嫁の心身のケアの方が重要なのである。
「この前オレが股間蹴られた時も結構凹んだから…気持ちは分かるわ…、はは」
守谷はわしわしと嫁の頭を撫で、布団に手を入れて腹も摩った。
「うん、一緒にせんとってほしい…」
「いや、ほんまに…経験できるもんならさせてあげたいよ、…いやでも気絶したら危ないしな、付いてたからってオレが蹴るわけにもいかんしな…」
「うん…うん…」
下らない話をしているうちに未来の返事はだんだん小声になり、彼女はすぅっと眠りについた。
「…寝たか…焦らんでええのにな、ふぅ…」
守谷は嫁の手を握って頬を寄せ、保護者の目でこの寝顔を眺める。
生理痛を遥かに凌ぐ出産の痛み、よくよく考えればそれを再び嫁の細い体に耐えさせねばならないのか。
守谷は無責任に「産んでくれ」などと吐かした自分を恥ずかしく思った。
「はぁ…和痛とかにしてもらおかな…代われるもんなら代わってあげたいわ…ミラちゃん…」
守谷もそのままそこで眠りこけ、未来が目を覚ました時には握られた手は汗でしわしわになってしまっていた。
つづく
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