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11月・嫁が可愛いので喧嘩も利用する
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しおりを挟む翌朝。
守谷は普通に、未来は少しギクシャクして家族と接した。
「昨日のことは一旦忘れよか、ミラ」
朝食を済ませ並んで歯を磨きながら、守谷は彼女へそう伝えた。
「相当興奮したけどな、なんや不完全燃焼やし罪悪感もえげつないわ。…また今度、金曜日に最後まで…いや、ミラの気が向いた時にな」
「うん…」
「奉仕とかええわ、普通にオレが責める方が気が楽やわ、はは」
実際にさせてみると、性的に従順な妻はやはり未来の柄ではなかったのかもしれない。
彼女としても、暗がりとはいえよくあんなモノを…とウガイをしながら思い出して少しえづいてしまった。
それから支度を済ませて玄関まで見送ると、守谷は嫁に自白した。
「ミラ、オレの部屋のテレビ台の引き出しに入ってるDVDのパケな、ひとりで見てみ」
「は、え……」
既に見たとは言えず、未来はとぼけ顔で夫の口元を見つめる。
「まぁAVやねんけど、それ、その女優さん、ミラに似てんのよ。デビュー作から観ててな…イチャイチャ系の作品ばっか出しよんねん…しやから抜ける…観てもええで、ひとりでな、フン、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい……何言うてんの…観ぃひん…」
何を言ってるんだと呆れるも、疑似的に自分が抱かれていたと分かり、夫のいじらしさについ口元が緩む。
しかしドアが閉まりきると、やはり「きっしょ…」と呟いた。
つづく
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