67 / 87
2月・嫁が可愛いので激務も乗り越えられる
53
しおりを挟む『♪~♪~』
そこに奈々のスマートフォンに着信が入り、
「あ、チーフからだ…もしもし?」
と受ければ、音割れする程の大きな声が未来の耳にも届いた。
『ミラちゃん!ミラ……どこや、ミラちゃん、』
「落ち着いて下さい、チーフ。奥様は私の隣でしっぽり過ごされてますわ」
『なん…ナナちゃん、そういう趣味か、ミラ、おい!』
「行き倒れちゃ困るから誘拐しただけよゥ……はい」
奈々は物騒な言葉を残して未来にスマートフォンを渡す。
「あ、パパ…ごめ」
『ミラちゃん‼︎迎えに行くから、すまん、待っとれよ!』
「………切れた…」
謝罪も聞いてくれないスピードで通話は終わってしまった、心配してくれているようだが落ち合えば外出を叱られるだろうか。
未来はまだ夫に会うのが少し怖く感じていた。
家の中であんなに大声を出せばお母さんにも気付かれたのではないか、それともオーディオルームなら防音だから平気だったか。
車内でどんな雑談をしようかと未来は頭を働かせる。
「すぐ来るでしょうね、20分くらいしたら外で待ちましょうか…」
茶碗の米粒を残らず口へ入れた奈々は飲み込みながら時計を見遣った。
「すみません…あの…ありがとうございました…」
「いいのよ、もうちょっと話してましょ、」
奈々からすれば一方的に世話をしただけだが未来はすんなりついて来たし大人しいし弱みを見せるし、お互い敵意が無いことが確認できて嬉しく感じている。
その後も恋愛話や仕事の話、子供の話もしたりして2人は時間を潰した。
「……うち、両親ともおれへんくて…ひとりっ子で…なんや、フロア長、お姉さんみたいで…こんな事話せる人がおれへんかったから…楽しかったです…はい…」
親しい義妹はいるが最近は電話でしか話さないし、同居の守谷母にも妊活や夫の愚痴などは話したことが無い。
身寄りの無い自分を引き取ってくれた恩人一家へ、その1人を貶すような発言はやはり出来ないのだ。
「あら、そうなの……可愛いこと言うわね…うん、妹みたいね…よしよし、これすると大概みんな喜ぶの」
奈々は立ち上がり、椅子に掛けた未来を抱き締めて豊満な胸に埋もれさせる。
「ん、ん♡あ、は♡……あったかい…」
「安心するわよね、人肌って。旦那さんとかお子さんとか、疲れた時はぎゅうっとして、自分もしてもらってね、」
「はい……凄いおっぱい…」
柔らかなカットソーの谷間に鼻どころか目まで埋もれる、未来はモゴモゴと簡単で最上級の褒め言葉を吐いた。
「ハッピーのHカップよ、あとは垂れるだけね♡」
「ひゃあ…珍しい……触っとこ…」
「うふふ、いつでもどうぞ、守谷さん。さて……ぼちぼち準備して、外で待ちましょうか」
守谷家から奈々の社宅まではバイパスを使って20分ほど、そろそろ頃合いだった。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる