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2月・嫁が可愛いので激務も乗り越えられる
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しおりを挟む『♪~♪~』
そこに奈々のスマートフォンに着信が入り、
「あ、チーフからだ…もしもし?」
と受ければ、音割れする程の大きな声が未来の耳にも届いた。
『ミラちゃん!ミラ……どこや、ミラちゃん、』
「落ち着いて下さい、チーフ。奥様は私の隣でしっぽり過ごされてますわ」
『なん…ナナちゃん、そういう趣味か、ミラ、おい!』
「行き倒れちゃ困るから誘拐しただけよゥ……はい」
奈々は物騒な言葉を残して未来にスマートフォンを渡す。
「あ、パパ…ごめ」
『ミラちゃん‼︎迎えに行くから、すまん、待っとれよ!』
「………切れた…」
謝罪も聞いてくれないスピードで通話は終わってしまった、心配してくれているようだが落ち合えば外出を叱られるだろうか。
未来はまだ夫に会うのが少し怖く感じていた。
家の中であんなに大声を出せばお母さんにも気付かれたのではないか、それともオーディオルームなら防音だから平気だったか。
車内でどんな雑談をしようかと未来は頭を働かせる。
「すぐ来るでしょうね、20分くらいしたら外で待ちましょうか…」
茶碗の米粒を残らず口へ入れた奈々は飲み込みながら時計を見遣った。
「すみません…あの…ありがとうございました…」
「いいのよ、もうちょっと話してましょ、」
奈々からすれば一方的に世話をしただけだが未来はすんなりついて来たし大人しいし弱みを見せるし、お互い敵意が無いことが確認できて嬉しく感じている。
その後も恋愛話や仕事の話、子供の話もしたりして2人は時間を潰した。
「……うち、両親ともおれへんくて…ひとりっ子で…なんや、フロア長、お姉さんみたいで…こんな事話せる人がおれへんかったから…楽しかったです…はい…」
親しい義妹はいるが最近は電話でしか話さないし、同居の守谷母にも妊活や夫の愚痴などは話したことが無い。
身寄りの無い自分を引き取ってくれた恩人一家へ、その1人を貶すような発言はやはり出来ないのだ。
「あら、そうなの……可愛いこと言うわね…うん、妹みたいね…よしよし、これすると大概みんな喜ぶの」
奈々は立ち上がり、椅子に掛けた未来を抱き締めて豊満な胸に埋もれさせる。
「ん、ん♡あ、は♡……あったかい…」
「安心するわよね、人肌って。旦那さんとかお子さんとか、疲れた時はぎゅうっとして、自分もしてもらってね、」
「はい……凄いおっぱい…」
柔らかなカットソーの谷間に鼻どころか目まで埋もれる、未来はモゴモゴと簡単で最上級の褒め言葉を吐いた。
「ハッピーのHカップよ、あとは垂れるだけね♡」
「ひゃあ…珍しい……触っとこ…」
「うふふ、いつでもどうぞ、守谷さん。さて……ぼちぼち準備して、外で待ちましょうか」
守谷家から奈々の社宅まではバイパスを使って20分ほど、そろそろ頃合いだった。
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