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2月・嫁が可愛いので激務も乗り越えられる

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「あ、すみません、守谷もりやです…」

「守谷さん…レジの⁉︎どうしたの…こんな…寒いでしょう⁉︎」

車から降りて来たのは予想通り奈々ななで、慌てて未来みらいへ駆け寄るとまず身体を心配してかジャンパーの両腕をガシガシと摩る。

「いえ…」

「なに?忘れ物?一緒に入ろうか?」

「違うんです、あの…散歩というか…」

「散歩ォ?……そのズボン…パジャマでしょう?出歩く格好じゃないわよ…どうやって来たの?」

 かつて生活指導の教師に補導されたのを思い出す、未来は恐縮して

「自転車で…」

と指差して答えた。

「え…?もう、載せてあげるから帰りましょう、チーフに連絡して」

「あ、スマホ忘れまして…へへ」

「へへ、じゃないわよ……守谷さん、危ないわ…ご家族が心配するわ、チーフに連絡するわよ?いいわね?」

 スマートフォンを取り出して通話画面を開くも、未来は浮かない顔で奈々を見上げる。

「はい、でもあの…警察沙汰でないことだけ伝えて貰えますか…ま、まだ帰りたくなくて…」

「……ケンカでもしたの?分かった、メールだけ入れておくわ…寒くない?帰る気が無いのね……そうだ、ウチにいらっしゃいな。ちょっと遠いけど、ここに居るよりずっといいわよ」

いい加減寒くなってきたので奈々は未来の背中に手を回し、グイグイ押して車へ乗るよう促した。

「いえ、そんな…」

「とって食いやしないわよゥ、こんな所に置いていけるわけないでしょう?私上司だから、ね、後ろ開けるから自転車載せましょう。守谷さんも乗って、」

「すみません…」


 言われるがままに未来は助手席へ座り、奈々は後部座席のシートを動かしてトランクから自転車を積み込み運転席へ戻って来る。

 ふー、としばれる手に息を吹きかけてシートベルトを締めれば、ニコリと助手席へ笑いかけてから車を出した。


 社内は奈々のお気に入りなのだろうか懐かしめのポップスばかりが流れていて、未来はなぜだか聴き入ってしまい特に会話はしなくて済んだ。
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