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後日談

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「おー、トコロテン?でもベッドに当たってるから触らずではないか」

「どお、なんれしょ…すみません、汚してしまって」

「いーよ、散々汚してるし。拭くから寝てな」


 優しく激しい責めを全身で受けて、公親はくったり疲労と幸福に包まれる。

 こうして段々と龍進が上位に立つようになるのだろう、そう予感するし願っている。


「……」

 けれど冷血漢な公親イメージをいまだに崇拝している龍進の希望に沿ってあげたくもあり…

「龍くん、おいで」

公親はティッシュを取って戻って来た龍進に手招きする。

「ん?」

「龍くんのは、僕が拭いてあげます」

「シーツが先じゃない?」

「そっちは龍くんが。僕は龍くんを綺麗にしてあげます。さあ」

 息が整わないのに言いなりで四つん這いになり、龍進はシーツに染みた公親の種を拭く。

 そして公親はまるで獣の交尾みたいに、後ろから貼り付いて龍進の広い背中に頬を付けた。

「おわ、冷たい」

「ん…そのまま、お馬さんしてて下さい…ん、たくさん、出ましたね…綺麗にしましょう…」

現物は見えないが手で股間を探り、お疲れな龍進のモノを掴む。

 屈強で凹凸のはっきりした見事なソレは、萎えても重量感がある。

 公親はえいやと捕まえて、根本から搾り出すように擦り上げた。

「あー…まだ過敏なのに…キミちゃん、あ♡」

「こんなに汚して……このカリ首、僕ここ好きです…ふふ」

「勃っちゃうって、そんな連発できないよ、抜けないと勃っても辛いじゃん、」

「出るまで弄れば良いんですよ」


 バックマウントはいつの間にか羽交い締めになり、押し倒しての見下ろし騎乗になり。

「(強引なキミちゃん、ツヤっぽくて、カッコいー)」

「(龍くん、下になってもたくましくて素敵)」

 ここからどちらがどこに口付けるのか、どちらがどちらに挿れるのか。

 はたまたどちらも手を使うのか、された分を返すのが妥当なのか。

「(どーする?)」

「(どうしましょう)」

 相手の望みを汲みつつ、自分の欲望を投げつけつつ。

「(キミちゃん、こうだろ?)」

「(龍くん、まずは準備……さすが、分かってる)」

 ああしよう、こうしたい。

 上になって、下になって。

 たくさんの選択肢が用意された二人のラブライフは、飽きずにまだまだ続く。



 そして、数日後の職場での休憩中のこと。

 同僚から合コンの誘いを受けた公親は、

「すみません、僕、恋人がいるので行けません」

と、照れくさそうにはにかんだ。

 同僚たちは相手の情報を知りたいと意気込んだものの、公親のとろける笑顔を見せられてはそれ以上の追及が出来なかった。


 それから公親は、同僚や女性社員とも私生活に関わる雑談をするようになった。

 相手の素性を聞き出さんとする不粋者はいなかったし、それが誰であろうと柔らかい表情の公親を見ればその恋が幸せだろうことは分かる。


「鶴見さん、最近楽しそうだよね。満たされてるんだろうね」

 経理部の社員が社食でそんなことを言っていて、偶然に耳にした龍進は人知れずニンマリ微笑む。

「(そーよ、満たし合ってんの)」

 恋人が褒められていることを誇らしく胸に抱き、龍進は午後の仕事に張り切って向かうのだった。



おわり
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