上 下
26 / 27
後日談

2

しおりを挟む

 そして帰ってその夜の、この情事である。

「あッ…ア、都築つづき、くんッ」

「へへッ…鶴見つるみかいちょー、……あ、キミちゃん、話は変わるけどさー、何か悩んでんのかって、周りが心配してたよ?会社で、何かあるなら言いな?」

「ぐあッ♡」

 大きな体で包み込まれる後背位、龍進が体重をかけると色々狭くなって公親の悲鳴があがる。

「んー?何だろ、俺と別れたいとかじゃないよね?こんなに仲良しだもんね?」

「そ、れはぁッ…あ、つらくて、」

「なに、俺、何かしたかな?」

龍進はやっと腰を止め、首を伸ばして裸眼の公親の瞳を覗き込む。

 公親は潰れた肺から懸命に息を吐いて、

「僕たち、こんなに、幸せで、ラブラブなのに、誰とも、惚気のろけを共有できないんですよ」

と唇を震わせた。


「は?ノロけたいの?それが出来なくてつらいの?」

「同棲あるあるとか、龍くんの好きなところとか、共感が欲しいんですよ、恋バナ、したいんです」

「…俺の素性を明かさず、話してみるとか」

「…それがスムーズにいけば良いんですけど……男とか女とか関係なく、パートナーのことを語りたい、なんて変な欲求が出て来て…ごめんなさい、こじらせてて」

「ふーん…自慢したいの?俺のこと」

 龍進が上体を持ち上げ揺さぶりを再開すれば、公親は「そうれすッ♡」と切なげに吠える。

 「こんなところが好き」「こういうところ直して欲しい」を語りたい。

 ちょっとディープなことも明かしてしまいたい。

 ただでさえ堅物そうなイメージの公親は、軽々しく恋人の惚気をこぼすことも難しいのだ。

 誰も気にしないし、むしろ公親の浮いた話なら是非に聞いてみたい候補者が現れそうなものだが…公親本人にも崩せないスタンスがあるらしい。


「SNSでも始めたら?別に、性別を明かす必要無いし。承認欲求満たされるよ」

「そう、れしょうかッ…あ、龍くん、」

「お、キミちゃんも勃っちゃった、いいねー、イキそー…キミちゃん、もっと俺の名前呼んで、」

「りゅう、ぐんッ…もぉ、なんか、あ、」

 硬質の体に腕を食い込ませ、龍進はスパートをかける。

 ぐわんぐわんと公親の頭は揺れて、喘ぎ声は枕に吸われて小さく響く。

「キミちゃんを、感じさせられて、嬉しーよ、ん、イく、キミちゃん、出ちゃう、良い?」

「は、いッ……ッあ♡♡♡」

 腕の中で最大限に公親が跳ねる。

 そしてそれとほぼ時間差無しで、龍進も股間を公親に擦り付け押し付けして豪快に果てる。

「ん、キミちゃん、すげぇ、きもちーよ、愛してる、ん、イく、ん、んッ……ん、んー♡♡♡…キミちゃんも、どうッ⁉︎」

 だくだくとゴム越しに注ぎ込んで、さぁパートナーのを搾ってあげようと龍進は手を伸ばす。

 しかしそこにあるのはヘナったモノとベタベタする感触だけ、公親は

「すみま、せんッ…もぉ、れちゃいました…」

と耳まで真っ赤にして突っ伏した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

【完結】遍く、歪んだ花たちに。

古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。 和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。 「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」 No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

処理中です...