君の望む僕に、なろうと努力はしますけども。

後日談

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　公親きみちかと龍進りゅうしんの二人が共に暮らし始めて、当然だがセックスの頻度は上がった。

　そうすると必然的に二人は経験を積み要領を得てくる訳で、体も気持ちも慣れて余裕が出て来る。

　同棲生活６ヶ月にもなれば、二人は名実共にズブズブの仲になっているのだった。



「かいちょー、すげ♡ケツヤリマンなんだぁ♡」

本日のタチ・龍進は根元まで押し込んでそう嘲笑う。

　イメージプレイというのか、『冷血生徒会長を襲う運動部部長』なる設定で今夜のまぐわいは行われている。

　学生時代の公親を思い出して興奮するし、喋っていないと間が保ちそうにないからだったりする。

「ふアっ♡」

「ひひっ♡ん、かいちょー、かあわいいお尻♡慣れてんだ、他の男にも掘らせてんの？」

「そんな、ことッ…ほァ…おごッ…」

「かいちょ、俺のちんぽ、気持ちー？どう？ん？」

「ぎ、もぢよぐなんでッ、ナ、いッ」

「あら、強情、俺はね、超気持ちーよ♡かいちょー♡」

　そんなことは公親も分かっていて、ニタニタ恍惚の表情を浮かべる様を見れば明らかなのである。

　公親だって実際には気持ちが良くて、しかし龍進のイメージプレイに付き合いギリギリまで反抗姿勢を見せているのだ。


　性交渉の回数が増えて、公親は段々と後ろで感じるようになってきた。

　筋肉の強張りが解けて龍進への信頼度が上がり、同棲の高揚感も相まったのだろう。

　日付や終電時刻を気にしなくても良い、慌てて帰る必要も無い…これまで移動に費やしていたのとそれ以上の時間を龍進と過ごせて、公親の精神は安定していた。

　おかげで仕事も夜の生活も順調そのもの、肌ツヤも良くなり女性にモテるようにもなった。

　元々がモテてはいたのだが、常に携たずさえていた眉間のシワが薄くなり、話しかけやすくなったのだ。

　呑み会で隣に女性が座ることもしばしば、以前なら塩対応だった公親も簡単な世間話が弾むようになっている。

　しかし年頃なのでどうしても家族や恋人の話題がありがちで、そんな時に公親はずーんと暗い表情になってしまう。

　無理に聞き出そうと考える者はいないが、実は周囲は「鶴見さんは辛い恋でもしてるのだろうか」と心配している。

　そう思われるくらいに心配されているということ、皆に関心を持たれているということだ。

　龍進は人伝にそれを小耳に挟んで、ひとりクスッと笑った。

　「そんなこと無いよ。とっても幸せな恋愛してるよ」と言ってやりたいが、そうもいかない。

　浮かない顔の原因が自分との恋ならば解決はしてあげたい、しかし普段はそう悩んでいる様子など無い。

　ならば先の見えない同性愛に思うことがあるのかな、などと龍進はひっそり考えていた。