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しおりを挟む「龍くん?どうかしました?チーズトッピングとかした方が良かったですか?」
龍進の自宅に帰り、公親はまだ熱々の牛丼を龍進へと差し出す。
公親のアパートは駅から近くて便利なのだが、それゆえに人目に付きやすいのでお泊まりは避けている。
龍進のアパートは駅からは離れており、広い部屋に大きなベッドが置けているので…二人の逢瀬は大概こちらだった。
「んーん、牛丼はフツーが一番…頂きます」
「頂きます」
若い二人は、はふはふと朝から牛丼を掻き込む。
龍進は大盛りを、公親は普通盛りを頼んで持ち帰っている。
「美味いな」
「ええ」
「…朝帰りだな」
「ちょっと違うような気がしますが」
実りはあったものの、肝心なところは不発に終わったホテル泊。
新しい生活が始まると思いきや現状維持だったために、両者は少し肩透かし感というか物足りなさを感じている。
何かひと区切りは必要なのかな、
「…キミちゃ」
「龍くん、提案があるのですが」
龍進が口を開けば、被せるように公親の声が重なった。
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