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しおりを挟む「ほー…」
「片塚はまぁ…そういう仲、でもほとんど友達やな、パートナーよ。BLとか理解ある?」
「あ、存在は知ってます」
「うん、あんな感じよ…流行ったやん、おっさん同士のドラマとか、実際やと生々しくてきしょいやろうけど」
俺は謙遜と言うよりは過分に自分を下げて、アルコールで染まったろう頬でふふと笑う。
ちなみに俺は46歳で片塚は43歳、美男子同士のイチャイチャ作品を消費するメインターゲット層からはおそらく需要が無いだろう。
より耽美で生々しくて、いやはや未知の世界だと思ったかどうか、宗近さんの頬も赤らんだ。
「いえ、年齢とかはあまり関係ないかと…はー…すみません、単純に好奇心で…芳井さんはバイセクシャルってこと…なんですね」
「そう。俺自身は男でバイは性的指向、片塚はゲイやね。元々はそういう出会い系で知り合うてん。あいつちょっとオネェ入ってるけど…女になりたいとか、そこまでは思わんらしいわ…でも仕草とかは女っぽい。ほんまはなりたいんかも」
「い、いいですよ、そんな片塚さんのプライバシー…明かさなくて…」
「せやね、ごめんごめん。俺が攻めね」
「分かりましたって」
俺は眉の下が落ち窪んだ彫りの深いマッチョ、対して片塚は女形のようにしなやかな優男。
なるほどあの男性にしては長いまつ毛や紅色の唇が俺を受け入れるのか、宗近さんはキャラクターからも文脈からも雄と雌の役割を把握できたろうか。
もっとも男とか女とかの2つに分けることも間違いなのだろう。
なるほど「受け」とか「攻め」とかいう単語は便利ですねと彼女は小さく頷いた。
「まぁ偏見もあろうね、俺らはそんな歳ちゃうけど男同士やと手ぇ繋いで出掛けられへんし」
「うーん、まだまだ珍しい…んでしょうか」
「生理的なもんもあるやろうね…男同士やとまず子供は作られへん、したらセックスはただのセックスやねん、エロいだけ、あ、ごめん」
つい口が滑ったと俺は目を剥いて宗近さんに片手を立てて詫びる。
「いいです、生物の話なら抵抗無く聞けますから……そうですね、フィクションですとそこにシンジツノアイとかを見出すみたいですけど」
「ん、『好きになった奴が男だっただけ』ってな…魂と身体のぶつかり合いやねんな、分かるけど…容易に体開く奴もこの界隈にはおるし…妊娠せぇへんからね、簡単にできんねんな…俺はそういうのは好かん…元々ね、そない性欲強うあれへんの」
マイノリティーだと誤解されがちなのが「守備範囲の広さ」。
俺だって男だから誰でも良い訳はなく、当然そこには好みのタイプとか性的に興奮するポイントが無ければ致すに及ばないのだ。
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