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おまけ

貝殻・後編

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「なるほど、こんな感じなのね。分かったわ」

「ひー…」

「悠希斗くん、可愛かったわよ」

「どう、も…」

「じゃあ次の体位ね……あ、これはやめましょう」

起き上がり口を拭いた巴さんは、スマートフォンの画面をついつい滑らせて他の体位を探す。

「なんでですか、見せて下さい……あ、」

 取り上げて遡り確認すればそれは『立ち花菱』こと腰を高く上げた状態でのクンニリングス。

 フェラチオは厭わない巴さんにあっても自身が舐められるのは抵抗があるらしい。


 僕だって好みではないが巴さんをギャフンと言わせられるならやってみようか、

「ずるいですよ、次は僕の番です。脚開いて」

と迫れば彼女は風呂を嫌がる子犬みたいに一目散にベッドの隅へと逃げる。

「舐めさせるなんて嫌に決まってるじゃない、やめて、」

「ぺろぺろさせてくださいよ、巴さん」

「いやよ、やだ、あ、ひゃうッ」


 テキストや資料を参考にするのも為になるけれどこういう型にはまらないのも良いでしょう、体位は不確かだけれど僕は巴さんを捕まえて組み伏せて大切な所をねぶった。

 恥ずかしいのは体位かそれとも状況なのか。

 巴さんはぱくぱく涙目で僕と目を合わせては可憐にあえいでくれた。

「(実況はできないか、これ、好きなのかな…鍛錬しよう)」

 口うるさくて理屈屋の巴さんが黙る珍しいプレイを見つけた僕はつい気が大きくなる。

 そして仕返しとばかりに重点的に責めて…絶頂を体感していただいた。

 反り返る腰、僕を蹴る痺れた足先、「離して」と僕の髪を引っ張る弱々しい指。

 可愛らしい悲鳴の何もかもが初めてで新鮮でえらく興奮した。


「ぷへ…暴れましたね」

「苦しいこと、しないでよぉッ…ばかぁ」

「…苦しかったですか?」

「……き、もちよかったわ」

「正直でよろしいですね」

「ふん」


 コンプリートにはまだまだ攻防戦が続きそうだ。

 だって口淫はまだ複数種類残っているしシックスナインだって控えている。

 僕が我慢するか彼女が折れるか意地の張り合いになるんだろうな、スマートフォンを枕の下に隠した巴さんは次はどんな体位を提案してくるのだろう。


「大丈夫ですか?」

「…大丈夫じゃないわよ…悠希斗くん、もう普通に…セックスがしたいわ」

「あら」

「ビクビクしてるの…早く、ペニスを挿れてちょうだい」

「言い方が…まぁ望むところですけど…ところで巴さん、48手以外にも沢山あるんですけど、体は柔らかい方ですか?」



 やっぱりムードに欠ける僕らは今宵も直接的に指導し合って、しかし確実に日毎に親密さは増しているのであった。



おわり
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