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しおりを挟む「お酒は…ダメよ、勃たなくなったら困るわ」
「巴先輩、ムード作りも大切だと思いますよ」
「…なら『先輩』はいい加減やめてよ。名前で呼んで」
「……巴さん、せっかくのデートだから下品なこと言わないで」
「今の、ときめいたわ」
「そりゃ良かった…あ、ここですね」
行き先は小洒落た洋食屋。
地元甕倉の情報誌の常連でもあるデートスポットだ。
ログハウス風の外観のカフェ、でもディナーもランチもしていてボリューミーな肉料理なんかも人気なんだとか。
店主はアメリカ人夫婦で、日本暮らしが長いので喋りも達者だし2人のラブラブっぷりが店内のムードをより良くしていてデートの雰囲気を盛り上げてくれるそうだ。
僕らは共に日替わりディナープレートを注文、肉汁溢れるハンバーグとチキンステーキが空きっ腹に染みて余計に美味しく感じる。
そして食後のデザートは手作りシフォンケーキにアイスクリームだった。
巴さんは何か伝えてくれていたのだろうムキムキマッチョな店主がお祝いの言葉をペラペラ喋りながら配膳してくれた。
「驚いた…あ、これは『おめでとう』的な言葉でしょうか」
「かしら、ハッピーバースデーではないと思うわ」
「巴さん、ありがとうございます」
「良いわよ」
筆記体のチョコペンの文字は読み取れなかったけれど、照れ隠しで目線を逸らす巴さんが愛おしかったので皿と彼女が収まるように写真を何枚も撮って記念に残した。
そして巴さんは嫌がったけど、店主が「撮ってあげるヨ、2人並びナ」と申し出てくれたのでカップルらしいツーショット写真も撮ることができた。
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