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しおりを挟む「さて…じゃあ悠希斗くん、出すもの出してもらおうかしら」
コートを脱ぎベッドに腰掛けた先輩は、実にそそられない誘い方をしてくる。
「はぁ、普通に見せるだけで良いですか」
「普通じゃない見せ方…いえ、魅せ方があるのかしら」
「残念ながらストリッパーではありませんので…普通に見て下さい」
こういうのは意識するだけ時間を浪費してしまうのだ。
もったいぶるような立派なものでもなし僕はするするとズボンを脱ぎ落とした。
本日のパンツは一張羅というか手札の中でも最も新しくスレてないボクサーブリーフだ。
「……」
先輩は静かになって、しかし股間に釘付けかと思いきやそうでもない。
捲り上げた温感シャツの下のヘソや腹にも目線をちらちら飛ばしている。
何も無くともシャワーを浴びて帰ろうかな、
「一応、全部脱ぎますね」
と断ってから上半身も裸になった。
「え、えぇ…」
「今のところ、どうでしょう?好奇心が刺激されてますか?」
「そうね…そのパンツの中、どうなっているんだろうと想像力が掻き立てられているわ」
「そうですか」
掻き立てられてそこから何があるんだろう。
発端となった西洋人の石膏像と比べて批評でもするのか。
それか創造力の方が溢れてきて先輩も裸像を作ったりして。
まぁ無いだろうからパンツの腰にすぐ指を掛けた。
「これが僕の棒です。お納め下さい」
「わ、」
ファーストリアクションを見たくなかったのでずり下げつつ案内を、ボクサーを片足ずつ抜けば半勃ちのモノが動きに合わせて揺れる。
どうなんだろう、ひとまず立位で脱いではみたが正解だったろうか。
巴先輩は当初「座って落ち着いた環境で」みたいなことを勧めていたから座位の方が良かったろうか。
ならばとベッドへ向かい一歩進めば、先輩はあからさまに肩をビクつかせて
「待って」
と両手を挙げ降伏ポーズを取った。
「(可愛い…)」
「待って、悠希斗くん…一旦そこでストップよ」
「はい」
「ちょっと…私のバッグから双眼鏡を取ってくれるかしら」
「…良いですけど」
僕は彼女に背中を向けて、小さなショルダーバッグの中から動物園で使った双眼鏡を取り出す。
「ちょっと…投げて、そして離れてちょうだい」
「…いきますよ、はいっ」
「……っん、ありがとう…もっと後退して、ドアくらいまで」
「さすがに酷くないですか」
ドアの上から下から隙間風が丸腰の僕へと当たってちべたい。
こちらが見せて「あげる」立場なのにこの扱いは屈辱的だ。
問答無用で押し倒される可能性だってあったのに僕はそこまで信用されてはないのかな。
まぁ「最後まで」と示唆していたのだから当然の護身か。
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