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しおりを挟む「…遅くなるかもしれませんけど、地元じゃなくて良いですか?」
これは吹っ切れた僕からの最後通告だ。
時刻表の隣に置いてある自動販売機に小銭を入れて、温かいカフェオレを選択して彼女へと渡した。
「ありがとう…遅く?」
「はい。休憩で済めば良いですけどね」
「…そんなに時間がかかるかしら」
「巴先輩、見せるだけで終わるとは限らない、って言ってるんですよ」
僕は先輩の返答から彼女が本当にアレを見ることしか考えてないことは理解した。
それ故に食い下がってみた。
ちくしょう見せるだけで終われるかってんだ、だいたいさっきの聞き方は完全に誘ってる風だったぞ。
でももう勘違い男のまま走り切ってやる。
「その気も無いのに思わせぶりな態度取りやがって」ってやつだ。
「見せてというのが私の要求だったはずよ」
「だから、見せただけで僕が収まらないと言ってるんですよ」
「……え、セックスまでする気?」
「先輩の要求はそこまで込みになる可能性を多く孕んでいますよ、むしろそこが目的と思う男がほとんどだと思います」
ほら分かってるんじゃないか、予測できるんじゃないか。
行き着く先がそこだと想定できる頭はあるんだよ、そしてその対象に貴女はなり得るんだ。
しかし哀しいな、巴先輩は頬を染めるどころかしかめっ面になってカフェオレをひと口、
「えぇー…悠希斗くんも、そういうつもり?」
と隣に座った僕の顔を見上げる。
きっと局部写真を送り付けて来た男たちを思い浮かべたのだろう。
僕も同類と思われたようだが根本の考えは似通っているから完全に否定はできない。
「最初は違いましたよ、だから真剣に交際するためにカップルになったんじゃないですか。でも今日はデートもして、巴先輩は可愛いしキレイだし休憩するかなんて聞かれたら…見せるだけじゃ済みそうにありません」
「…そこまでは考えてなかったわ、ただ見たい欲が高まってしまったから…不用意だったわね、ごめんなさい」
「……帰り…ますか、」
なんだよまったく思わせぶりだな、僕も何か飲もうかと立ち上がれば上着の裾をくんと引っ張る感触に体ごとがくんと背中側に揺れた。
「ぅゎ」
誰が引っ張ったかって巴先輩しかいない。
おっとっとと体勢を整えて振り返ると先輩はカフェオレの缶で顔を隠して少し俯いていた。
「…先輩?」
「…見たい、の」
「はい?」
「悠希斗くん、の…棒が…見たいの」
やれやれまたそれか、「だから」と先ほどの説明を繰り返そうとすれば彼女は缶を傾けてカフェオレを一気、「ぷはぁ」と息をついた後
「雰囲気いかんでは…その先も…好きにして良いから…」
とやっと紅潮した肌を見せてくれた。
その気になれば照れたりできるんじゃないか。
僕は彼女の内面の乙女っぽさを目視できて安心した。
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