上 下
14 / 46
2

14

しおりを挟む

「…遅くなるかもしれませんけど、地元じゃなくて良いですか?」

これは吹っ切れた僕からの最後通告だ。


 時刻表の隣に置いてある自動販売機に小銭を入れて、温かいカフェオレを選択して彼女へと渡した。

「ありがとう…遅く?」

「はい。休憩で済めば良いですけどね」

「…そんなに時間がかかるかしら」

「巴先輩、見せるだけで終わるとは限らない、って言ってるんですよ」

 僕は先輩の返答から彼女が本当にアレを見ることしか考えてないことは理解した。

 それ故に食い下がってみた。

 ちくしょう見せるだけで終われるかってんだ、だいたいさっきの聞き方は完全に誘ってる風だったぞ。

 でももう勘違い男のまま走り切ってやる。

 「その気も無いのに思わせぶりな態度取りやがって」ってやつだ。


「見せてというのが私の要求だったはずよ」

「だから、見せただけで僕が収まらないと言ってるんですよ」

「……え、セックスまでする気?」

「先輩の要求はそこまで込みになる可能性を多く孕んでいますよ、むしろそこが目的と思う男がほとんどだと思います」

 ほら分かってるんじゃないか、予測できるんじゃないか。

 行き着く先がそこだと想定できる頭はあるんだよ、そしてその対象に貴女はなり得るんだ。


 しかし哀しいな、巴先輩は頬を染めるどころかしかめっ面になってカフェオレをひと口、

「えぇー…悠希斗くんも、そういうつもり?」

と隣に座った僕の顔を見上げる。

 きっと局部写真を送り付けて来た男たちを思い浮かべたのだろう。

 僕も同類と思われたようだが根本の考えは似通っているから完全に否定はできない。

「最初は違いましたよ、だから真剣に交際するためにカップルになったんじゃないですか。でも今日はデートもして、巴先輩は可愛いしキレイだし休憩するかなんて聞かれたら…見せるだけじゃ済みそうにありません」

「…そこまでは考えてなかったわ、ただ見たい欲が高まってしまったから…不用意だったわね、ごめんなさい」

「……帰り…ますか、」


 なんだよまったく思わせぶりだな、僕も何か飲もうかと立ち上がれば上着の裾をくんと引っ張る感触に体ごとがくんと背中側に揺れた。

「ぅゎ」

 誰が引っ張ったかって巴先輩しかいない。

 おっとっとと体勢を整えて振り返ると先輩はカフェオレの缶で顔を隠して少しうつむいていた。

「…先輩?」

「…見たい、の」

「はい?」

「悠希斗くん、の…棒が…見たいの」


 やれやれまたそれか、「だから」と先ほどの説明を繰り返そうとすれば彼女は缶を傾けてカフェオレを一気、「ぷはぁ」と息をついた後

「雰囲気いかんでは…その先も…好きにして良いから…」

とやっと紅潮した肌を見せてくれた。

 その気になれば照れたりできるんじゃないか。

 僕は彼女の内面の乙女っぽさを目視できて安心した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...