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しおりを挟む「楽しかったみたいね」
帰りの電車内、自分用のカワウソのぬいぐるみを買ってほくほくしている僕に先輩は半ば呆れた様子でそう言いクスリと笑う。
だって可愛いから部屋に飾ってなんなら一緒に寝ようと思ったのだ。
土産屋にある一番大きなビニル袋を提げて立つ僕はそれほどにみっともない存在なのだろうか。
「こういうの、好きなんです」
「それ魚でもないじゃない。へぇ…他にも持ってるの?」
「アルパカとかカピバラとか。癒されますよ」
「悠希斗くんは可愛いのね」
最初ははしゃいでたのにえらくお姉さんぶった先輩はまた皮肉っぽく笑い、流れて行く景色へと目線を逸らした。
「…先輩、この後は…甕倉に戻ったらどうしますか?」
「そうね…夕飯は何が良いかしら?」
まだ夕方と言うには明るい時間帯だ。
水族館の閉館を待てば混雑するだろうと早めに出発したので地元に着いても16時台だろう。
先輩の家に近い駅前でファミレスディナーでもしようかな、そこならコインロッカーもあるから身軽に家まで送れるし。
なんて考えていると巴先輩が電車の揺れに乗じて半歩こちらへ寄って来た。
「…先輩?」
「少し…疲れたの。体力が無くてダメね」
「大丈夫ですか?…それなりに満席だしな…僕に寄り掛かってて良いですよ」
「ありがとう」
ちょんと僕の腕に寄せた頭を横目でチラと確認すれば、黒髪に埋もれた旋毛が可憐である。
これって良い感じなのでは、しかし明け透けな巴先輩がこんな誘い方をするとも思えない。
彼女ならきっと「悠希斗くん、良い機会だからホテルへ行ってみない?」とかそんなはっきりとした言い回しをするはずだ。
失礼だがそんな女性だと僕は認識している。
けれどどうしたことだろう巴先輩はそれから何も喋らずただ僕にもたれて数駅揺られて、たくさん歩いたから疲れたのだろうか心配するくらいには静かだった。
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