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しおりを挟むしかしマッチングアプリの次に位置するって嬉しいんだか悲しいんだか。
これはガッツポーズを見せて彼女に喜びの念を伝えるべきなのだろうか。
そして僕は「棒を見せたい男」みたいなイメージで生きてはないと思うのだが…それとも何か弱みでも握られているのだろうか。
「面識があって話が通じる人が良いなって思ったのよ。そしたらゼミが同じの笛田くんが適役かしらって」
「そんなに信頼されても困りますよ……僕だって、狼になるかもしれませんよ」
「…だったらやめるけど。でも笛田くん、ここまで私の話を聞いてくれたじゃない?頭ごなしに否定はしなかった」
「突っ込んでますけど」
「私、結構笛田くんに一目置いてるのよ?授業態度は真面目だし教授のお手伝いも進んでやるし。こうして、突拍子の無い話にも耳を傾けてくれる」
「自覚はあるんですね」
「優しいじゃない。もし笛田くんが私を論破して丸め込んでくれるならこの計画は破棄しても構わないと思ってたわ。でも聞き入れてくれるなら私に協力して欲しいのよ」
なるほど僕の説得力が先輩の主張に負けたのが敗因か。
しかし彼女の候補第一号に選ばれたのは名誉なこと、話を聞いていくうちに僕は特に悪い話ではないのかなとも思い始めている。
万が一にご期待に添えず気まずくなったとしてもあと数ヶ月の仲だし問題は無い。
けれどそれだけで終わらせるには何というか口惜しいというかもったいない。
「えーと、少なからず先輩は僕のことを好きであると考えて良いんでしょうか」
もう授業数が少なくなったとはいえ同じ講義を受ける同級生とか友人の紹介とか方法はあるはずだ。
それでも僕を選んでくれたことに決め手が欲しい。
特別な人として認識されなきゃ特別な部分は見せられやしない。
なのに先輩は
「嫌いではないわ。笛田くんがゼミに参加して1年、こうして個別で話をするくらいだもの」
と明言を避ける。
「異性として、候補に挙げても良いくらい好ましいと思っているか、と聞いてるんです。僕が第一候補でしたか?」
「そう…ね、笛田くんの他の子は想定に浮かばなかったわね」
「では消去法でしょうか」
「いいえ、『親しい男性』を想像した時に一番最初に思い浮かんだのが笛田くんよ…何故かは分からないけれど。仲の良さとかは正直後付けの理由ね、笛田くんを納得させるための材料ってとこかしら」
つまりは僕を口説き落とすために「僕にした理由」を穴埋めして辻褄を合わせたらしい。
僕としてはその直感を信じて欲しいのだが彼女はピンときていない。
まぁ確かに親しいけどそれだけだしこんな思考をする人だと見抜けなかったくらいだし、僕が「なぜ僕なんです」と足掻くところまで織り込み済みなのだろう。
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