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しおりを挟むまぁ別にどうにかなりたいなんて思ってなかったし、週に1回しか会わないしもうすぐ卒業だし。
ただ歳上の綺麗なお姉さんと遠からず近からずな関係で居られることが楽しかったのだ。
誰だって人に嫌われるよりは好かれる方が気分が良いだろう。
そこを掘り下げたって決定的な理由なんて出てきやしない。
だからこれまで築き上げてきた先輩のイメージが大きく崩れるというか砕け散ったというか、そりゃ芸能人の不倫ゴシップとか俗な話題で意見交換したことはあったけどもその時はこんな直接的なことは言わなかったし。
「私、別に恋愛とか関心が無くてね、年頃になれば適当に結婚してセックスするんだろうなーって思ってたの、漠然と。今22歳でまだ機会は無いんだけど。でもその棒を見ちゃってから、それが頭から離れないのね、棒が。『あ、これって性欲なのかしら』って思った次第なの」
「へぇ」
「それで、ぼちぼち恋愛でも始めてみようかと思ったんだけど、何からして良いか分からなくてね?」
「はい」
もしや相手として選定にかけられているのだろうか。
回りくどいけれど「私と体先行のお付き合いをしませんか」みたいなお誘いのつもりだったのだろうか。
にしては下手すぎるしムードもへったくれも無いから違うのかな、せめて話の入りが「笛田くんはお付き合いしてる女性がいるかしら?」だったら希望が持てたのだが。
「でもいや待てよ、と。これが性欲ではなくてただの知的好奇心だとしたらどうなのかしら?と、」
「はい」
「今まで気にしたことも触れることも目にする機会さえも無かった棒にこれほどまでに惹かれる、これは未知との遭遇における好奇心や探究心なのではないかしら、と、」
「はいはい」
「夢にも見たのよ、あの裸像…西洋人っぽい若い男性だったんだけど、あれが生きた人間のように動いて棒もゆらゆらと生気が宿っていてね、おずおず触ろうとしたところで目が覚めてしまったのよ」
「…はぁ」
触らせてということなのかな、知りたいとはそういうことなのだろう。
しかし女性でもそんなエッチな夢を見るんだな。
僕がおっぱいの夢を見たとて「性欲だ」のひと言で済んでしまうが確かに彼女のその欲は何なのだろう。
「気になるのよ、大きさ、質感、色、温度、重量感、匂い、味」
「あじ」
「未知なんだもの…ね、これって性欲だと思う?」
「……だれのでも良いんならそうなんでしょうかね」
「そうなのかしら…でね、性欲なんだったら、本物を見て観察して納得しようと思ったのよ。さしあたってはアダルトビデオなるものを観てみたの」
「……」
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