薮から棒な巴さん…見たい、知りたい、触りたい。

茜琉ぴーたん

文字の大きさ
上 下
1 / 46
1

1

しおりを挟む



笛田ふえたくん、笛田くんは恋人にペニス、そうペニスを見せたことはあるかしら?」

 才色兼備の通り名を欲しいままにする西御門にしみかど先輩がまさか男性器を連呼するなんて。

 想定外過ぎて僕は固まってしまう。

 何かの間違いか寝ぼけているか泥酔しているかのいずれかの要因が考えられる。

 あるいは噛んだか…言おうとしたのは例えば『ペンス』とか『テニス』とか『ベニス』とか。

 僕はそのどれも縁が無かったので

「は?」

といささかぶっきらぼうに聞き返した。


「だから、笛田くんは、恋人なりセックスフレンドなりにペニスを見せたことはあるかしら?大人になってから」

残念だが聞き間違いではないようだ。

 西御門先輩は肩に掛かったつやつやロングの黒髪をバサッと手で後ろへ払い除けて繰り返す。


「…質問の意図が分かりかねます」

「どうして?与えられた質問に事実を答えれば良いだけなのに。イエスかノーの2択でしょう?あ、50fifty-50fiftyでもい」

「著しくパーソナルな情報を含むからですよ」

「そう、確かにね」

「……」


 ここはどこかと言えば僕と先輩の通う大学の3号館の一室。

 今はゼミの授業が終わって学友がパラパラと帰って行った後のいわゆる放課後である。

 僕、笛田悠希斗ゆきと甕倉カメクラ産業大学・通称『カメサン』の3年生、西御門ともえ先輩は次の春に卒業と就職を控えた4年生だ。


 うちのゼミは2年生の夏休み明けから専攻分けをして冬に所属が決まるのだが、同じゼミ生となって1年一緒にいさせてもらったがまさかこんなぶっ飛んだ質問をする女性だとは思っていなかった。

 先輩は容姿端麗な優等生タイプ、お淑やかだけれど明るくて快活で、ハッキリとした物言いをする人だ。

 いつもすっぴんで気取っていなくて、けれど気品が漏れ出たようなオーラを纏った『難攻不落』なマドンナなのである。


 対する僕はまぁ皆勤賞くらいしか誇るところが無いような普通の学生、奥二重で左目尻の下にホクロがあって、街に投げ込めば上手く溶け込めるような程よく流行りを取り入れては乗り換える普通の若者だ。

 夏はツーブロックにしていたけど今は伸ばしてゆるふわな感じ、就活前に遊んでおこうとアッシュグレーを入れたばかりであった。


「(恋人はともかくセフレを持つような男だと思われているのか、僕は…何の質問かと思えば…)」

 一応授業が終わってから前の席の先輩が僕に振り返り、「ちょっと良いかしら?」と断りを入れてからのあの質問ではあったが。

 完全に想定外、むしろ予測できる人間はいなかったことだろう。

「では…私がこの質問をした経緯からお話するわね」

「はぁ」

 先輩はイスを回して僕にきちんと正対して話を始める。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

禁断

wawabubu
恋愛
妹ののり子が悪いのだ。ああ、ぼくはなんてことを。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

エリート課長の脳内は想像の斜め上をいっていた

ピロ子
恋愛
飲み会に参加した後、酔い潰れていた私を押し倒していたのは社内の女子社員が憧れるエリート課長でした。 普段は冷静沈着な課長の脳内は、私には斜め上過ぎて理解不能です。 ※課長の脳内は変態です。 なとみさん主催、「#足フェチ祭り」参加作品です。完結しました。

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...