真梨亜さんは男の趣味が残念だ

茜琉ぴーたん

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17章

82きゅん

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 出逢ってもうじき1年、昨年の今頃の自分にこんな未来が待っていると伝えても絶対に信じないだろう。

 大輝はふとあの日の真梨亜を思い出してノスタルジーに浸る。

 たくさんの黒と紺の世界にただひとり金色に輝いていた真梨亜、助け出して別れ際にキスをくれて…まるでおとぎ話の妖精のようだった。

 出逢いは偶然だけれど大輝の誠実さと善行に惹かれてさらにビジュアルも好みで万々歳、真梨亜にとっても彼は騎士ナイトか王子様のようだった。


「ねぇ、僕のことミスターって呼んでみて」

mamaママみたいに?」

「そう」

「…Misterミスター?」

「いいね」

 ちゅっとキスをして体を離せばミスターの脚の間にはぷらんと白い雫が垂れ下がっていて、真梨亜は覗き見をしては「あんなに出たぁ」とこっそり照れる。

 抱くごとに増す大輝の男っぷりはフェロモンのせいか気のせいなのか。

 それはきっと貯まっていく経験値と自信のおかげ、そして溜まる真梨亜への想いの成せるわざだった。

「なぁにそれ…」

「大人な男、みたいな」

「あはは」

「真梨亜さんのお父さんみたいな…頼り甲斐のある男になりたい」

「…素敵ね」

 そう言って笑う真梨亜は母の面影が強くセクシーで、大輝はもれなくコンシャのグイグイ来る感じを思い出し別の興奮を覚える。

 真梨亜もいずれあのように自信満々なご婦人になるのだろうか、そして自分もアメリカかぶれみたいなイタい人になってたりして。

「…えい」

「きゃん」

脳裏にチラつくラッセル夫妻を追いやりつつ、大輝は目の前の真梨亜へ再集中しようと丸い乳房を強引に掴んだ。


「英語でエッチな言葉、喋らせてみたいね。おっぱいって何て言うの?」

「…breastとか…titty、とか」

「ティッティー?『ちち』みたいで可愛いね。ここは?おヘソ」

「navel」

「ネーブル、へぇ…じゃあここは?」

「……vulva、」

「ん?難しいな、もう1回」

「vulva…」

「じゃあこの奥は?」

 楽しくなってきた大輝がより多くの単語を引き出そうとするのに対し、真梨亜は

「…あのね、あたし喋れるだけで語彙ごいはそんなに多くないのよ」

と『膣』を翻訳したくなくて誤魔化す。

 発音すること自体は何てこと無いのだ。

 日常的に口にしないしあくまで体のパーツとして表現することに抵抗は無い。

 でも大輝は明らかに真梨亜があたふたする様子を楽しもうとしているのだからせめてもの反抗である。

「あ、そう…」

「大輝くんだって日本語話せるけど知らない単語あるでしょ、同じこと!」

「確かに。でも体の器官だから知ってるかと思ったんだけどな」

「……」

「保健体育で習った気もするし…ねぇ?真梨亜さん」

「言わないわよ、発音が違うもん」

「知ってるんじゃん…教えて、真梨亜先生」

「……v…va…」


 『ヴァギナ』と習ったが真梨亜の発音はだいぶん違った。

 大輝は何度か聞き返しては彼女を過度に赤面させた。

 あまりに聞き取れないためスマートフォンの翻訳ソフトを使い調べてもみたが、つくづく自分の耳は日本語にしか対応してないのだと大輝は再生ボタンを何度も押し…真梨亜は少し引いてしまう。


「もうやめよ……大輝くんって結構ガキなのね」

「うん、ごめんね。紳士じゃないんだ。そもそも真梨亜さんは僕のことを過大評価してるんだよ」

「そうかな…」

「たぶん、お酒とか入ると礼央くんと話が合うくらいには男子だよ」

「…人に見せたり聞かせたりしちゃうの?変態」

残念ながら真梨亜の中では弟は『変態』というカテゴリに入る人間なのだ。

 まさか同種族だなんてと彼女の表情は曇る。

「そこまではしないけど…純粋にエッチなことは好きだよ。エッチな真梨亜さんも好き…ん、そろそろいけそう」

「………あ、え、」

 性の本音を少々開放した大輝の体は欲望に正直で、礼央を想像して怪訝けげんな顔つきの真梨亜でさえ普段の笑顔と違ってまた魅力的だった。

 そしてむくむくと膨張する温かいムスコに服を着せてやり、柔道の寝技の如くがっちり押さえ込んで真梨亜の中心へと照準を合わせる。


「嫌ならタップね…はじめ、」

「柔道?あ、大輝くん、あ、体力やばぁい!」

「精力もやばぁいだよ、ん、」

「あ、あー♡」


 全開になった大輝は時間いっぱいまで真梨亜をたっぷりと愛し可愛がり鳴かせて叫ばせて…しかしその肌がぺちぺちとタップされることはついに無かった。



「大輝くん…超エッチ…」

「…男だからね…真梨亜さんこそ止めないんだもん」

「…だって嫌じゃないんだもん…」

ホテルを出て夕食へ向かう二人の足取りはへろへろで、しかしがっちり手を繋いで支え合って進んで行く。

 心から通じ合えた喜びとこの先への希望、小さな事ではあるが山をひとつ乗り越えた二人はるんるんと昼間と同じファーストフード店へと消えて行った。



つづく
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