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16章
72きゅん
しおりを挟む季節は秋になり二人の内々定は内定が確定。
特に内定式などは無いらしいが封書にて改めてムラタよりお祝いの言葉と簡単な課題のお知らせが届いた。
テーマは『今年の夏休みの過ごし方について』で、ちょっとした小論文の形式でまとめよとのことだ。
もう既に内定は貰っているので審査などはされないと思うのだが、内容はともかくこうした課題を締め切りまでに真面目に取り組めるかどうかを見ているのでは…と大輝は予測している。
「真梨亜さん、どんなこと書く?」
「んー…夏休みね…arbeitとdateくらいしかしてないけど…」
本日のお出かけは市内散策、二人は近場のショッピングモールをぶらぶらしてフードコートで小休止しているところだ。
お馴染みのファーストフードの店舗で飲み物とポテトのLサイズを買って席で仲良く摘む。
「美味しー…そうだね、僕はオープンキャンパスの手伝いしたこととか書こうかな。良い子ぶってる感じするけど実りはあったからさ」
「うん、堂々としてカッコ良かった♡あたしは何したかなぁ…地道に働いてたって書こうかな」
「『女子高生のコスプレしてました』は?」
「やだ、そんなつもりじゃない!もう…でも可愛くなかった?」
「もちろん可愛かったよ。その後もね」
そう言って大きな手でポテトを掴む仕草に真梨亜はきゅんとときめいて、あの日の初体験を思い出してははにかみ頬を染める。
彼女にとってこの夏の一大イベントは言わずもがな大輝とのセックス以外に有り得ないのだ。
けれど誰に言えるでもなし家族にさえ言えないので当事者の間のみでこうして小声で話題にしていた。
「た、大輝くん…こんなとこで…やだぁ」
「何とは言ってないじゃない…真梨亜さんが妄想し過ぎなんだよ」
「…ずるい」
「ふふっ…真梨亜さんはいつでも可愛いよ」
「きゅん」
真梨亜においてはロストヴァージンは大人になったという自信と目標達成への若干の燃え尽き感、そして喪失したものに対する僅かなメランコリックな気持ち…諸々をまとめて『色気』として表へ放たれている。
大輝においてはもちろん男としての自信、そして達成感に満ち満ちて真梨亜曰くの『男っぷり』が上がっていた。
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